【Red vs. Blue】トランプ大統領の北朝鮮政策は飢饉を誘発する?!

【Red vs. Blue】トランプ大統領の北朝鮮政策は飢饉を誘発する?!

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回はトランプ大統領による北朝鮮への制裁に対して、両者の意見を聞く。


 トランプ政権は北朝鮮の核開発を中止させるために、同国にさまざまな制裁を加えているが、今のところはその効果が現れた気配はない。そこで政権は中国に対して、北朝鮮に燃料を供給するのをやめるように迫っている。「燃料がなければ、ミサイルは打ち上げられない」というのが米国家安全保障担当補佐官であるマクマスター中将の言い分だ。しかし多くの専門家は、燃料を断つ制裁は北朝鮮のミサイル開発の停止にはつながらないだけでなく、同国の農業に打撃を与え、その結果、北朝鮮に大規模な飢饉を誘発しかねないと分析している。RedとBlueはこの制裁をどう見るのか。

出典『NBC News』: Trump’s North Korea Policy Could Trigger Famine, Experts Warn

[Red 保守派] 飢饉責任はトランプではなく、北朝鮮政府にある

The North Korean Government is to blame for any Famine, Not Trump

 NBCは事実を報道しようとしないテレビ局なので、まずは私が事実関係をはっきりさせておこう。北朝鮮は、退廃した一家が指導する共産主義の独裁体制国で、地上の地獄という表現がふさわしいような国だ。つい最近も北朝鮮からの脱北者が、同国の強制収容所で行われている拷問の詳細、女性拘留者への強制的な堕胎、警備犬に囚人を餌として与える非人道的な慣習などを国連で証言したばかりだ。

 北朝鮮の主要な国内産業は「恐怖と苦難」であり、主要な輸出物は「世界的な核のハルマゲドン」だ。北朝鮮の共産主義を廃止して市場ベースの政府にすれば、飢饉の可能性を避けることができ、東アジアにおける経済大国になれる可能性すらある。それに彼らが核兵器保持という無茶な野望を捨てさえすれば、そもそも米国は外交政策で圧力を与えたりすることもないのだ。

 論点がトランプの対北政策にすり替わっているが、北朝鮮の飢餓はすでに何年も問題となっている北朝鮮政府自らが起こしている問題である。制裁を行い、行動を改めさせねば、北朝鮮内の飢餓がなくならないことを思い出したほうがよいのではないか。

[Blue リベラル派] 中国は朝鮮民主主義人民共和国を飢えさせはしないだろう

China Will Not Let DPRK Starve

 トランプの北朝鮮政策は、賢明だった試しがひとつもない。石油輸出の全面禁止は、記事が示唆するように、同国の一般市民を苦しめるだけのことだ。しかし、記事はこうも言っている。「すでに実施されている石油輸出禁止措置にも関わらず、中国は現在でも毎年1万バレルの石油を北朝鮮に輸出している」、と。

 実際、中国とロシアは、アメリカの希望にも関わらず、北朝鮮に対する完全な石油輸出措置には反対している。ロシアは、そもそも相手が誰であっても喜んで石油を売るだろう。それに中国は、隣国の人々が自分たちの指導者に対してどう感じているかに関わらず、彼らが餓死するのを見過ごすのはためらうだろう。

 一方で中国は、国連の制裁措置を遵守するために、北朝鮮から石炭を購入するのをやめて、米国からそれまでより多くの石炭をより購入することになり、北朝鮮はその収入を失った。この新聞記事はその点を見逃している。

 中国政府は、金正恩(キム・ジョンウン)が、国民が飢えるからという理由でミサイルの打ち上げテストをやめたりはしないのを知っている。ミサイル実験を停止させる唯一の方法は、金正恩に発射命令を下すことをやめさせるしかない。そして中国は、トランプには絶対に彼を止めることはできないということも知っている。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

戦争へ一歩近づいた? 米国が3隻目の航空母艦を北朝鮮付近に配備

https://bizseeds.net/articles/540

 北朝鮮とトランプ米大統領の応酬が続き、戦争への不安が消えない中、朝鮮半島沖で戦闘訓練を行っている2隻の米軍母艦に、先月末、3隻目の空母ニミッツが加わった。

北朝鮮に関する記事 >

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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