【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回はサンフランシスコ市が設置した「慰安婦像」と大阪市の言い分について、保守派とリベラル派が市民目線で見解を述べる。


 昨年9月、米カリフォルニア州サンフランシスコ市の市民団体が、慰安婦像の寄贈を市に申請した。それに対し、同市と姉妹都市である大阪市の吉村洋文市長は、寄贈を拒否するようサンフランシスコ市のエドウィン・リー市長に申し入れていたが、リー市長は11月22日、受け入れ決議案に署名。慰安婦像は、サンフランシスコ市のチャイナタウンに設置された。これを受けて吉村大阪市長は、「信頼関係が破壊された」として、60年続いた両都市の提携関係を解消すると声明を出した。

 この直後 12月12日、リー市長が心臓発作で急死。吉村市長は、リー市長への追悼の言葉を述べると共に、新市長が選出される6月頃まで姉妹都市解消の決定を延期すると記者団に語った。この二人の市長の言動をアメリカの保守派とリベラル派はどう見るか?

出典『NBC News』
Osaka Mayor Says He Will End San Francisco Sister City Ties Over ‘Comfort Women’ Statue

[RED 保守派] サンフランシスコ市議会は女性を気にかけている振りをしているだけ

San Francisco City Council’s truly spineless concern for Women

 先日、サンフランシスコ市議会が第二次世界大戦における「慰安婦」記念像の寄贈を受け入れた。リベラルおよび左派は、70年以上前に起こった恐ろしい悲劇について率直に語るのは勇敢なことだと考えているらしい。それが女性やマイノリティーに関連している場合は特にそうだ。しかし、どうして今なのだろうか? 日本帝国軍がいまだに東洋の広大な地域を支配しているとでもいうか? こうした恐ろしい行為が今も続けられているというのか? いや、そうではない。

 今回の決断は、サンフランシスコ市議会が、市は「女性を気にかけている」と、ソーシャルメディアに発信するために行ったものだろう。「慰安婦」の窮状は、確かに第二次世界大戦中の論争の的になっている問題だ。しかし、大戦中には他にも多くの恐ろしい行為が行われた。ドレスデンの焼夷弾攻撃で40万人の一般市民が殺され、ナチの強制収容所では600万人ものユダヤ人が殺害され、広島と長崎に落とされた原子爆弾では何千人もの民間人が死んでいるが、これらの悲劇の記念像はサンフランシスコのどこにあるのだろうか?

 最近、サンフランシスコの埠頭で32歳のアメリカ人女性、ケイト・スタインリを殺害したメキシコからの不法移民が、カリフォルニアの裁判所で無罪を言い渡された。悲劇的なことに、その男が強制送還されず今もアメリカにいる唯一の理由は、リベラルなサンフランシスコ市議会が同市をサンクチュアリ・シティ(移民保護地域)と宣言し、ケイト・スタインリの殺害者を連邦政府に引き渡さなかったからだ(本来ならば、法に基づいて引き渡すべき)。そのケイト・スタインリの銅像はどこにあるのだ? 70年前ではなく、現在に生きる女性に対するサンフランシスコ市議会の関心はどこにあるのだろう? サンフランシスコのリベラルな市議会は、本当に意気地なしだ。彼らは日本との友好関係を、第二次世界大戦中に発生した悲劇の代償にしようとしている。これは間違いだ。サンフランシスコ市議会は女性の窮状を気にかけているのではなく、ただ「そう見えるよう装うこと」にだけ関心があるのだ。

[BLUE リベラル派] 世界のステージでプレーするためには世界と連動しなくてはならない

To Play on the World Stage, One Must Be Willing to Engage With the World

 アメリカでは、敗北を潔く受け入れられない人の行動を表現するときに、「バットとボールを持って家に帰る」という表現がある。ある子供が、自分の所有するボールとバットを使って、みんなで野球の試合をしていた際、自分のチームが試合に負けそうになるとする。その状況に腹を立てて、その子がボールとバットを持って家に帰ってしまったら、全員が試合を続けられなくなってしまうが、自分以外のみんながどうなろうと、道具を持って帰ってしまう人に対して使う表現である。

 大阪市とサンフランシスコ市は50年以上もの間、姉妹都市だった。姉妹都市関係とは、お互いの文化理解と認識を促進し、異なる国の対話を深め理解を促すことを意味する。実際サンフランシスコには、中国系アメリカ人、韓国系アメリカ人、日系アメリカ人を含む、多くの異なる文化の人々が住んでいる。吉村大阪市長は、自分の立場を守るのに頑ななあまり、他のすべての見解を無視し、姉妹都市の本来の目的を忘れてしまったようだ。もしも、サンフランシスコ側の話に耳を傾ければ、銅像の背後にいる団体は、日本に対する侮辱を目的にしているのではなく、「性的暴力からの女性の自由、特に戦時中の」という「世界的な問題を訴えている」ということがわかるだろう。

 これまでにはなかったほど世界が結びついた今日、慰安婦についての議論はいまでも続いており、それには多くの側面が関わっている。これは、吉村氏がいてもいなくても続いていくだろう。吉村氏の面目を保つ唯一の選択肢は、バットとボールを持って帰る代わりに、この試合に加わって、グローバルな視点を持った会話に参加することだろう。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

「フィアレス・ガール」像を考案した企業の女性賃金差別が明らかに

https://bizseeds.net/articles/455

 ニューヨークの金融街ウォールストリートの観光名所として有名な「猛牛の像」。今年3月の国際女性デーに、その猛牛の像に向かって立ちはだかる小さな少女の像「フィアレス・ガール(恐れ知らずの少女)」が造られて以来、その像と一緒に写真を撮る大勢の観光客でにぎわっている。

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