【Red vs Blue】アメリカから見る「日本の少子化危機と日常生活への影響」

【Red vs Blue】アメリカから見る「日本の少子化危機と日常生活への影響」

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は米ビジネス・インサイダーの記事、「日本の少子化の危機」を読んで保守派とリベラル派がどう感じたかを問うた。


 日本の少子化問題は深刻だ。過去5年における少子化と消費支出の低下という悪循環は、GDPの喪失、人口100万人減少という現象を生んでおり、経済学者はこれを「人口統計の時限爆弾」と呼んでいる。この時限爆弾は数年、あるいは数十年持つかもしれないし、うまくいけば爆発の危機を逃れられるかもしれない。いずれにしても少子化は、現在の日本の全ての人に影響をもたらしている。

 人口統計の専門家によると、国の人口を保つには女性1人当たり2.2人子供を産む必要があるが、日本の合計特殊出生率は1.41人と、この数字を大きく下回っている。高齢化社会になることで老齢年金受給者が増加するが、年金納付者は減少しており、年金制度にも危機が訪れると見られる。既に、過去6年の間に大人向けおむつの販売量は、赤ちゃん向けおむつを上回っているだけでなく、現在500万人(日本の人口の4%)がアルツハイマー患者であり、2025年にはそれが700万人に達すると予想されている。老人の孤独死の日常化、労働力不足補填にロボットを導入するなど、社会のあらゆる現場に影響が見られている。

 こうした深刻な問題に直面していながら、日本政府は労働力を補うための移民の積極的な受け入れ対策を行っていないことを『ビジネス・インサイダー』の記者は驚きをもって結んでいる。どうなる、日本? これをアメリカ人の保守派とリベラル派はどうみるだろうか?

出典『ビジネス・インサイダー』
引用元:Japan's fertility crisis is turning into a 'demographic time bomb' — here's how it affects daily life

[BLUE リベラル派] 若者は将来にどんな希望を持てばいいのだろう?

What Do Young People Have To Look Forward To ?

 若者が世の中の人口を増やすことに関心がないことは、驚くに当たらない。日本は今、一世紀前にアメリカが体験したのと同じことを経験しているのだ。

 日米両国の保守政権は、企業の利益のために国民の将来への展望をいともたやすく解体してしまった。生涯雇用や年金制度は急速に変化しつつある。保守派は、高齢者のための財政需要を計画する代わりに、合法的な資金を信用性の低い運用に回し、まるでヤクザのように振る舞っている。

 父親は仕事に出かけ、母親は家で子育てをするという伝統的な家庭のあり方は、今やほとんどの若者にとって実現不可能な夢となっているだろう。もし母親が働くことを選べば、職場でセクハラを避けられる可能性は悲劇的に低い。

 今の世の中で、若者はどんな希望を持ったらいいのだろうか? 気象変動が発生しているのに、それに対して実際に何か行われているのだろうか? そもそもそれが問題になっているのだろうか? 他人のお金を自分のポケットに移すことに忙しい権力を持った貪欲な老いた男たちは、後世に何かを残すのだろうか? いや、そういうことはないだろう。若者たちはニュースの見出しを見て、権力を持つ老いた男たちは次世代のことなど、まったく気にかけていないことを知るのだろう。

[RED 保守派]  悲観的な主張とは裏腹に日本の未来は明るいだろう

Despite what the grim soothsayers at Business Insider claim, the future of Japan is bright indeed

 国の未来は、現在の特殊合計出生率のみに依存しているわけではない。独断的な左派は、こうした話を持ち出して人々の恐怖心や懐疑心、失望感を煽るのが大好きだ。もしもこの話が真実なら、欧州の多くの国々も日本と同じ運命をたどることになってしまうだろう。なぜなら、スウェーデン、ノルウェー、デンマークをはじめとするヨーロッパの大半は、女性1人当たりの出生率が現在2人未満になっているのだから。

 これは「時限爆弾」ではなく、日本という国の転換点にすぎない。日本の真の強さは、紀元前からの神聖な文化と卓越した歴史、そして国と国民が、自然災害や世界大戦、原爆を経験し、それらを耐えて乗り越えてきたという本当の奇跡にある。日本は、約5兆米ドル(約554兆円)の世界第3位の経済大国だ。例えば自動車、バイク、コンピューター、テレビ、家電製品などの技術的リーダーであり、金融や消費者とサービス産業においても堅調だ。日本は、世界で最も安全な国のひとつであり、優れた医療、教育、緊急支援サービスを提供している。カリフォルニア州とほぼ同じ面積に1億2千7百万人の人口を持つ国なのだ。

 日本では第二次世界大戦中に280万人が戦没している。国土は爆撃され、破壊され、工場はなぎ倒され、多くの街が一掃されたが、戦後30年の間に東アジア第一の国、世界最大の経済大国の一つとして蘇った。同記事は単に近視眼的であるだけなく、日本人の国民性と歴史に対する完璧な無知を反映している。20年後の日本は、依然として明るい希望の光に満ち、平和な民主主義の国として世界の他の国々の模範であることだろう。サムライの精神は永遠に燃える炎となって、日本人の創造性と回復力を燃やし続ける――――それは簡単に消せるものではない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

アメリカでも話題に! ソニーの「aibo」復活

https://bizseeds.net/articles/519

 ソニーがロボット犬「aibo」をリニューアルし、2018年1月11日より発売することを発表したが、このニュースはアメリカでも話題になっている。

日本に関する記事 >

この記事の寄稿者

関連するキーワード


アメリカ 日本 教育

関連する投稿


権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(後編)

権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(後編)

アイスホッケーの在米コーチである著者が、アメリカのプロスポーツ・ビジネスの構造や考え方、ユース・スポーツの育成、アプローチ方法などを情報満載でお届けする、若林弘紀のコラム『スポーツで知るアメリカ』。2月9日に開幕した平昌冬季オリンピック。前回に引き続き、北米の女子アイスホッケーがなぜ優位なのかを解説しよう。


空への夢の始まり13――とうとう、ひとりで機体を飛ばす

空への夢の始まり13――とうとう、ひとりで機体を飛ばす

外国人には狭き門である、アメリカ一般旅客機パイロットへの道。その難関を突破し、育児をしながら現役活躍中の青木美和が、「夢の叶え方」を航空産業最新情報と共にお届けする『Sky High America』。アメリカの大学で航空学などを学びながら、フライト・スクールで実技を学ぶ生活にも慣れて来た頃、その日は突然やってきた。


日産の脳波を読むヘルメットが米CESで話題に

日産の脳波を読むヘルメットが米CESで話題に

車があなたの脳波から心の状態を読み取って運転を助けるという夢のような話が浮上している。開発を始めたのは日産自動車。昨今ブレインテック (BrainTech・脳工学)が話題になっているが、日産のこのニュースもアメリ カの自動車産業界で、ちょっとした話題になっている。


権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(前編)

権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(前編)

アイスホッケーの在米コーチである著者が、アメリカのプロスポーツ・ビジネスの構造や考え方、ユース・スポーツの育成、アプローチ方法などを情報満載でお届けする、若林弘紀のコラム『スポーツで知るアメリカ』。平昌オリンピックの開幕まで、あと約1カ月。今回は注目の女子アイスホッケーで、なぜ北米が優位なのかを解説する。


【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回はサンフランシスコ市が設置した「慰安婦像」と大阪市の言い分について、保守派とリベラル派が市民目線で見解を述べる。






最新の投稿


サステイナブルな食生活への移行はゆっくりでいい

サステイナブルな食生活への移行はゆっくりでいい

オーガニック野菜の生産や販売、食育教室などを開催するサステイナブル農場「21エーカース」の料理人で、料理人歴30年以上のベテラン・シェフ、ジャック・サリバン。今回はジャックが、サステイナブルな食生活へのスムーズに移行するための「コツ」を伝授する。


日本好きを魅了する、ビバリーヒルズのスパ探訪

日本好きを魅了する、ビバリーヒルズのスパ探訪

全米の流行発信地のひとつでもあるカリフォルニアのビバリーヒルズに、セレブリティたちを魅了する日本スタイルのスパがある。日本人女性、黒野智子さんがオーナーの「Tomoko Spa」だ。その驚きのサービスとは?


【Red vs Blue】ビットコインが抱える“多くの問題”に頭を悩ませる監査当局

【Red vs Blue】ビットコインが抱える“多くの問題”に頭を悩ませる監査当局

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は、両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々の見解を披露する。今回は、アメリカでも話題の仮想通貨への投資について。


今週のU.S.A.ニュース・ピックス! 銃規制スピーチからロボット動画まで

今週のU.S.A.ニュース・ピックス! 銃規制スピーチからロボット動画まで

アメリカ人たちが「これは見逃せない!」と思った今週のU.S.A.ニュースをピックアップ! 2月第3週のアメリカでは、フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件の生存者によるスピーチを有名アーティストや若者層がリツイートして全米に銃所持の問題を提起したことが最大のニュースに。


トランプの「軍事パレード開催」発言を兵士たちはどう受け止めたか

トランプの「軍事パレード開催」発言を兵士たちはどう受け止めたか

多様なアメリカでは、暮らす地域によってすべてが異なる。テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、「軍事パレードを開催したい」というトランプ大統領発言に対する兵士や保守派の意見を紹介する。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング