【Red vs. Blue】オプラのゴールデン・グローブ賞スピーチは感動的か否か?

【Red vs. Blue】オプラのゴールデン・グローブ賞スピーチは感動的か否か?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。先日、人気司会者のオプラ・ウィンフリーがゴールデン・グローブ賞で披露した感動的なスピーチが全米の話題をさらったが……?


 先月7日、第75回ゴールデン・グローブ賞授賞式が行われ、アメリカで最も有名なTV司会者のひとり、オプラ・ウィンフリーが、業界の功労者に与えられる「セシル・B・デミル賞」を受賞。その受賞時のスピーチが素晴らしかったと全米で話題になった。

 オプラは、貧しかった少女時代にシドニー・ポワティエが黒人俳優として初めてセシル・B・デミル賞を受賞する姿を見た時の感動や、同賞を初の黒人女性として受賞する自分の姿を見ている少女たちがいることの意味の大きさ、ここまで成し遂げた自身を支えてくれた人々への感謝を述べた。そして、アメリカ社会が抱えている差別問題と女性に対する性的な虐待を取り上げ、これまで女性は長い間、虐待されてきたが、「タイムズ・アップ(もうそれは終わり)。今これを見ている少女たちに、新しい時代の兆しが見えていることを知って欲しい」と力強く述べ、会場は数回のスタンディング・オベーションに湧いた。翌日、アメリカのメディアはオプラの演説の話題で持ちきりとなり、2020年の大統領選に出馬するのではないかとさえ噂された。このスピーチを、保守派とリベラル派はどう受け止めたか?

出典『CNN Entertainment』
スピーチ全文掲載:Read Oprah Winfrey's Rousing Golden Globes Speech

[Red 保守派] オプラは過去に固執している

Oprah Winfrey is stuck in the past

 オプラ・ウィンフリーは過去に固執している。女性の虐待に言及したゴールデン・グローブ賞でのスピーチで彼女は、ジム・クロウ法(※1)の時代(1876年〜1964年)に起こった典型的なケースとして、白人男性6人と黒人女性1人が関与する強姦事件を公開した。最近起こった有名な強姦事件や嫌がらせ、殺人の実例が他になかったのだろうか? 1944年まで遡らなくてはならなかったのは、なぜだろう? 

 私には、どうして彼女がその事件を選んだのか見当もつかないが、推測するだけの危険を冒すことはできる。おそらくそれは、最近ハリウッドを席巻している「白人の男は悪人で女性を餌食にする」という「Me Too(私も被害者)」現象を支持する話だからだ。しかし、50年前からの犯罪に関する実態は、女性の第一の敵は白人男性だという毒のある考えを支援してはいない。

 例えば、黒人男性はアメリカの人口の約6%にすぎないが、強姦事件の35%以上は彼らが犯している。ヒスパニック系の男性と合わせると数字は50%以上に跳ね上がる。統計学的にいうと、たとえば黒人とヒスパニック系男性を組み合わせたものと比較すると、白人男性は女性にとってほとんど脅威ではない、それでもオプラは、黒人差別の亡霊である南部のジム・クロウを、現在のアメリカ人女性の性的虐待に関するスピーチに取り入れたかったのだ。

 では、まだ記憶に新しい2015年に、父親とサンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフを歩いていて、なんの理由もなく不法移民のメキシコ人に撃ち殺された32歳の白人女性ケイト・スタインレの事件はどうだ? この事件に取り組んだらどうなのだ? 次回のゴールデン・グローブ授賞式では、不法移民によるアメリカ人女性の殺人と強姦、虐待についてスピーチしてもらいたいものだ。

[Blue リベラル派] 平和と愛と理解の何がそんなにおかしいのか?

What’s so Funny About Peace Love and Understanding ?

 オプラが大統領選に出馬するなどという雑音は、推測に過ぎないので聞く必要はないだろうが、オプラはアメリカ国民が必要としていた激励で、我々を奮い立たせてくれたことは間違いない。トランプ大統領が毎日ソーシャルメディアで誰かを攻撃することに忙しいところに、誇張やひねくれた言葉ではなく、真実と心のこもった言葉をテレビのパーソナリティーから聞くのは、とても爽やかな気分にさせられた。

 オプラは、テレビや映画の役ではいつも強い女性を演じて来たが、それはおそらく彼女の持って生まれた強さを反映しているのだろう。彼女は、映画に出演する際、ポジティブな役や人にインスピレーションを与える役でなければ引き受けないそうである。

 アメリカは今、インスピレーションを必要としている。ホワイトハウスにバッド・ニュース大統領がいるアメリカは今、ハッピー・エンドな話が必要だ。大統領たる者が、白人至上主義者を「非常にすばらしい人々」などと呼ぶアメリカでは、黒人女性が力のある地位につくことが必要なのだ。

 現政権が攻撃的で予測不可能なために、混乱し不安を抱いている何百万人ものアメリカ人を鼓舞するには、人権こそが最も大切であるというアメリカの展望について語った、心動かされるオプラのスピーチが必要だった。だから大勢の人々の心を揺らし、これほどまでに話題になったのだろう。

注釈:※1 ジム・クロウ法とは 1876年から1964年にかけて存在した、人種差別的内容を含むアメリカ合衆国南部諸州の州法の総称。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

【Red vs Blue】NYタイムス紙の詩織さん報道 レイプ被害者に対する日米の視点の違い

https://bizseeds.net/articles/622

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は米メディアが取り上げた日本の「詩織さんレイプ被害事件」について。通常は意見が対立するレッドとブルーだが……?!

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