アメリカ進出の第一歩は「アイデンティティ」

アメリカ進出の第一歩は「アイデンティティ」

シカゴを拠点に30年近くビジネスを展開する著者が、アメリカに進出したい企業人が知っておくべき常識や、ハイパーニッチで事業開発を加速化する術を指南する、岸岡慎一郎のコラム『今こそ、アメリカで勝負!』。トランプ政権も2年目に突入し、アメリカの好景気が続く中、どのようなビジネスがアメリカに進出しやすいのだろうか?


進出するなら、アメリカに合ったローカリゼーションが必要

 今回も読者の方から質問を頂いた。
「アメリカの好景気が続いていますが、トランプ政権下でアメリカに進出する場合、どのようなビジネスが進出しやすいですか?」

 刻々と情勢が変わるアメリカで起業したいと考えている人は、具体的にどのようなことに留意すべきだろうか。前号の「日本に居ると分からないアメリカ」でも記述したが、日本とアメリカの温度差はどんどん広がっていると感じる。そのような状況下で、「アメリカで流行りそうな日本の商品とは?」について改めて考えてみた。

 まず、日本企業がアメリカに進出する際には、“アメリカに対して”何のメリットがあるのか、どのように貢献できるのかを相当に落とし込む必要がある。アメリカで出会う日本人ビジネスマンは、えてして、がむしゃらに自社の利己的な作業スタイルを押し通すことが印象に色濃く残る。振り向いたら…日本人ビジネスマンだけしか、そこにいない……とか(苦笑)。他国に来ても、自社のスタイルを崩さない姿勢は、「(日本から来た)あの方々は、何をしようとアメリカに来たのだろうか?」という疑問や不安感を、アメリカ人ビジネスマンに与えていることを認識する必要があるだろう。そして、もう少し土着的にその市場に寄与するスタンスがあった方がいい。こういうことを学ぶには、日本の企業で徹底的にローカリゼーションを実践し、尚且つ、その国(この場合はアメリカ)のために寄与するスタンスをもっているトヨタとキッコーマンから学ぶことが最良であると感じる。

どんなビジネスなら、アメリカに進出しやすいか?

 さて、トランプ政権下では、というのは海外の人が安部政権下で、海外の企業がどのように日本に進出をしたらよいのか、というのと同等に難しい質問である。いずれにしても、アメリカのためになる事業という視点が重要なので、それを考慮すると下記のようになるだろう。

■日本からアメリカ市場への進出支援業
■バイヤーの進出支援・バイヤーセンター
■アメリカの製品の輸入促進(バイヤー・商社)
■レストラン事業、総合総菜チェーン、料理・調理AR
■アメリカの製造業の人材育成(教育)事業・代理加工
■アメリカ企業への投資事業
■機械保守サービス・エンジニアリング事業
■各種ホビー・専門分野におけるハイパーマニア商品の流通
■ロボティシスト
■運転代行サービス
■ネットカフェ・漫画アニメ喫茶
■スパ・温泉+カプセルホテルでYOTELを超えるもの、おしぼりサービス
■日本のファミレス(居酒屋機能ありのもの)
■宅配ボックスサービス
■東急ハンズ的な総合雑貨ショップ

 まずは玄人やマニアに受けるもの、つまり「分野領域でウケる圧倒的な地位を誇ること」が重要である。アメリカ進出における最大の障壁は、就労ビザの取得であるゆえ、これらの事業とうまく絡めた進出シナリオ、および進出事由のストーリーを描く必要がある。

 もうひとつ特筆したい点は、昨今では、アメリカで日本のものを売るためには日本企業である必要性がないことである。日本の伝統的なビジネスだとされているラーメン屋も、居酒屋も、カプセルホテルも、煎茶・茶屋でも、アメリカではアメリカ人が手掛けて成功している。だからこそ、まずは「どのようなアイデンティティを持って、アメリカで歓迎される存在となるのか?」について、徹底的に落とし込んでから、進出にチャレンジして欲しい。

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この記事の寄稿者

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。学生時代は日本起業家協会の学生会長を務める。伊藤忠商事大阪本社・宇宙情報産業機械部門に勤務後、1999年よりシカゴのアイティエー・インク (I.T.A., Inc.) にジョインし、2005年より社長。日本の産業分野における対米進出支援、商社業務、リサーチ・調査、IT/テクノロジー支援を中心にニッポンのアメリカ事業部としての支援プラットフォームを構築。また、米国マイノリティ承認を取得し、大手企業へのCSRの一環であるサプライヤー・ダイバーシティ向上を支援している。

米オバマ大統領直轄ホワイトハウスのアジアアメリカ・メンバー(2年間)、 経済加速化イニシアチブに参加。他にも5つの団体で幹部や理事、ジェトロ・コーディネーター等に従事。支援しているインターンは500名以上。

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