トランスはジェンダーだけではない?

トランスはジェンダーだけではない?

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。沿岸都市に住んでいるとLGBTの存在はすっかり社会に浸透した感があるが、アメリカのマイノリティは最近さらに複雑化している?!


日本人は、なぜ金髪にするのか?

 つい最近、アメリカ人の友人の息子さんが日本から帰国した。日本の外務省、文部科学省などが中心となって諸外国の若者を特別職の地方公務員として全国の小学校や中学校、高校、地方公共団体などに派遣する通称「JETプログラム(Japan Exchange and Teaching Program)」を利用し、1年間、東北に住んでいたそうだ。住んでいたのは小さな村で、彼は充実した時間を過ごしたそうだが、日本滞在中に1週間だけ東京へ行った時のことを振り返り、「ショックだった」と話してくれた。

 「日本人はとても美しい黒髪なのに、男性も女性も髪の色を染めてしまう。特に女性はそのままのほうが可愛いのに、化粧が濃くて、セキセイインコにしか見えないような子もいた。なかにはカラーコンタクトをしている人もいたけど、あんなのはアメリカ人からすると、100%トランスレイシャル(Transracial)だ」

 「トランスレイシャル」とは、自分が属する人種に違和感をもち、本来の人種から、異なる人種に転換する人たちのことを言う。アメリカでは最近、性転換手術ならぬ「人種転換手術」を専門にする医者まで登場しており、絶対数は少ないながらも、注目される存在になっている。

白人だけど、魂はアフリカン

 トランスレイシャルの活動家として有名な女性にレイチェル・ドールザル(Rachel Dolezal)さんという人がいるが、この人は白人女性として生を受けたものの自分の人種に違和感を持ち続け、日焼けサロンで肌を常に小麦色にし、髪形や名前を変えて、今は「アフリカ系アメリカ人」として生活している。有色人種の地位向上を目指す団体を活動拠点に、講演や執筆活動などに大忙しらしい。ちなみに彼女が昨年発表した自叙伝、『In Full Color: Finding My Place in a Black and White World』」は、あちこちのメディアで取り上げられ、結構な話題となった。

 こうした例は、かなり過激な部類だと思うので、「人種に対する違和感を持つマイノリティ」というのは、実際には少ないと推測する。白人として生まれたが黒人になった人、白人だがアジア顔に整形した人の話などをたまに耳にすることがあるが、これらはあくまで「びっくりニュース」の類と言ってよいだろう。

 しかし、先述の友人の息子さんにしてみると、東京のど真ん中で感じた衝撃は、トランスレイシャルから受けるものとあまり変わらないらしい。「日本人が西洋人のような外見を追い求める様子に違和感を覚えるのは理解するが、日本人の場合はトランスというより、ファッションだ」と伝えてあげたが、全米屈指の保守派州アラバマの出身で、しかも両親は熱心なキリスト教信者という環境で育った彼からすると、「生まれたときのまま」以外は、すべて違和感に感じるのかもしれない。

トランスはどこまで許されるのか?

 「トランスマイノリティ」と呼ばれる人の中には、「そりゃあ、ないだろう?」と思えるようなケースもある。最近知って呆気にとられてしまったのは「トランスエイジ」を自称する男性の存在だ。この人も結構メディアに登場している。試しにどんな人か知りたいという人は、こちらの映像を見てほしい。

 この人の場合は結婚して子供が7人いるにもかかわらず、拭い去ることができなかった年齢的な違和感を克服するために、6歳の少女として生きることを決め、今は養父母と共に暮らしている。これには、コメントのしようもない……。

 この他にも、人間であることに違和感をもち、猫や犬、キリンなどとして暮らす、「トランススピーシース」や、地球に生を受けたことに違和感を覚え、地球外生物だと名乗る「トランスエイリアン」などさまざまな人たちがいるが、こうした人々の多くは、悩んだ末にトランスマイノリティとして生きる決心をしたという人たちで、真剣そのものだ。また、性的少数派への人権は確保されているのに、自分たちの人権が確保されていないのはフェアーではないという声もあるようだ。

 マイノリティの人権については話が尽きない。例えば人権擁護に厚いという理由でリベラルを振りかざし、自称・弱者が「自分たちも守られるべき、支援されるべき」というような要求をしはじめたら、社会は成り立たなくなってしまうだろう。かといって、異なる者は全部排除するというような社会もまた、成り立たない。これから社会はどのように、こうした多様性と向き合っていけばよいのだろうか。

パープルと呼ばれる人――「中道派」とは誰を指すか?

https://bizseeds.net/articles/601

保守とリベラル派の対立が激化し、「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。保守でもリベラルでもない立場をとるアメリカ人の考えは、なかなか表に出てこない。中道派とは、どんな人たちなのだろう?

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この記事の寄稿者

青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。

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