アメリカの若者:停滞と進歩 ~What’s Different About Us?~

アメリカの若者:停滞と進歩 ~What’s Different About Us?~


 15歳、バージニアの小さな空港に降り立った時から、私のアメリカでの留学生活が始まった。今年で五年目になる。英語での授業についていくこと、初めて学ぶ統計学や心理学、アメリカ史などの授業のすべてが刺激的だった。でも何より刺激的で発見だったのは、友達になった留学生、アメリカ人のティーンエイジャーたちの多様性と『現状』だった。

 バージニアで通った女子校での最初の数ヶ月はとにかく楽しかった。全校生徒百人ほどの小さな学校で、私が想像していた『アメリカの高校生』そのままに、フレンドリーで気さくだった。学校のある小さな街を案内してくれたり、日本の文化に興味を持って質問をしてきてくれた。他の国からの留学生に比べると、友達を作るのに苦労はしなかった。アメリカの環境に慣れるのに、比較的楽な最初の数ヶ月だったと思う。

 旅行が大好きで、もともといろいろな文化に触れることに興味があった私は、アメリカ人だけではなく世界中からやって来た留学生とすぐに友達になった。特に興味深かったのは、彼女たちのバックグラウウンドだった。韓国から養子としてメイン州で育った子、ネイティブアメリカン向けのプログラムで来ている子、香港で生まれ育ったドイツ人、ドミニカ共和国からの移民の子たちなど、日本に住んでいたら決して出会うことのなかった環境にある人たち。留学生の中には国を背負っている子たちもいた。たとえばアフガニスタン政府奨学金で留学した子は、とてもまじめで高校2年生の時には学校のリーダーの1人に選ばれていた。この多様な環境のなかで、私の視野は少しずつ、そして確実に広がっていった。

 視野が広がるうちにアメリカの若者について気づいたことのひとつは、彼らも「壁の中でいきている」ということだった。留学するまでは、アメリカ人はみんなオープンマインドで、子供たちも多様な文化について知識の豊富な人が多いと思っていた。でも、実際は守られている狭い環境の中で育った若者が多いように思う。たとえば、「中国は大陸なのか、国なのか?」、「アジア人は全員が同じ言語を話すのか?」は何度も聞かれたことがある。

 またメキシコ人の友達は、「学校にはロバに乗って通っているのか?」とアメリカ人のクラスメイトから何度も聞かれたらしい。私たちからすれば「えっ?」と思うような質問をしている彼女たちに悪気はないのだ。さらに驚くのが、学校の成績の良い、頭の良い子の中にも、他の国や文化についてテレビで見たものをそのまま現実だと思っている人がいることだ。それはたとえば、日本人は今でも『ちょんまげ』を結っていると思い込んでいるのと同じだ。

 このアメリカの若者に垣間みられる「無知さ」、英語で言うと”Ignorance”は、どんな多様な環境にいても、自分と『同じ仲間』と常に一緒にいようとする傾向からきていることが多い。たとえば、今私が通っている高校でも、白人とマイノリティーの学生の間には明らかに壁がある。決してお互い嫌い合っているわけではないのだ。でも、どうしても友達のグループは、肌の色やバックグラウンドで分けられている。

 しかし、私たち、この若いジェネレーション は、年上の世代に比べて明らかにオープンだと思う。他人を受け入れる思考を持つ者が多いことは確かだ。人種差別問題、性差別、不平等など、社会にはたくさんの問題がある。だが、今の若者は変化を待っている。そして、誰もがありのままでいられる社会を望んでいる。保守派の家庭で育った若者たちもいるが、アメリカには教育やメディアの影響でかなりリベラル寄りの若者が増えているという現実がある。ソーシャルメディアによって情報が瞬時に世界に伝わり、人々がつながっていく。ITはさらに進化し、AIの登場によってこれまでの社会の仕組みが変わるかもしれない。私たちのジェネレーションが時代の担い手になり、目撃者になるのだ。アメリカで学んでいる留学生としての視点を通して、アメリカで学ぶということ、アメリカの同世代の若者について、これからこのコラムで発信していきたい。

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