【Red vs. Blue】移民を守ろうとするカリフォルニア州をトランプ政権が告訴?!

【Red vs. Blue】移民を守ろうとするカリフォルニア州をトランプ政権が告訴?!

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は、両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々の見解を披露する。今回は不法移民の取り締まりを強化するトランプ政権が、カリフォルニア州を訴えたという仰天ニュースについて。


 トランプ政権の移民取締政策に対抗して、全米10州以上300以上の自治体が不法移民を保護するなんらかの政策を実施している。こうした地域は聖域都市(サンクチュアリー・シティー)と呼ばれる。なかでも移民労働者の多いカリフォルニア州は、移民を保護する手厚い法を定めているため、トランプ政権は「カリフォルニア州は犯罪者を保護しているに等しい」と主張。セッションズ司法長官は今月6日、カリフォルニア州の聖域都市法によって連邦政府の合法的な活動が妨害されているとして、カリフォルニア州のブラウン州知事とべセラ州司法長官を相手に訴訟を起こした。

 これに対してブラウン知事は、「セッションズ長官の政治的スタンドプレーだ」と一蹴し、べセラ州司法長官は記者の質問に対して、「カリフォルニア州の州法は連邦法と連携しており、なんの問題もない。 我々が麻薬やギャングの取り締まりを行っているのは移民の国外追放のためではなく、公共の安全のため。訴訟には勝つ自信がある」と答えている。なかなか収まりそうにない政権と州の訴訟合戦を、リベラル派と保守派のアメリカ人はどう受け取っているのだろう?

出典『ニューヨーク・タイムズ』
Trump Administration Sues California Over Immigration Laws

【Red : 保守派】無法地帯、カリフォルニア

Lawless California

 米連邦政府は、カリフォルニア州が不法滞在移民(多くは指名手配者)の勾留と強制送還を拒否し、 連邦移民局の捜査官たちに協力しなかったことから、同州への訴訟を余儀なくされた。カリフォルニア州の左派政治家は、どういうわけか思想を理由に、トランプ政権下の司法省との仕事を拒否する権利があると信じているようだが、彼らは「ただトランプが嫌いなだけ」なのだ。

 カリフォルニアの指導者たちが何を考えたにしても、米国憲法はこの点においては絶対である。憲法第1条、第8節の下において、全国で統一された帰化に関する規則 の責任は米国議会にあって、州にあるのではない。したがって、裁判においては、政治的な目的を持った裁判官が何らかの理由で公正な裁きを行うことに失敗した場合ではない限り、カリフォルニア州の政治家や公務員は米国の法令を遵守するか、あるいは蔑まれた上で監禁され、犯罪者として逮捕される対象となる。カリフォルニア州は現在の左派政権の元で、無法地帯になっている。そのため、「トランプ保安官」が秩序を回復するために登場したのである。

【Blue : リベラル派】カリフォルニアを厳しく取り締まることは、アメリカ経済を苦しめること

Punishing California Punishes America's Economy

 外国人労働者たちは、アメリカ人たちの職を奪っていないし、カリフォルニア州の農場が外国人労働者に大きく頼っていることは、秘密でもなんでもない。トランプが大統領に就任して以来、そうした労働者の多くが国外に退去させられたり、アメリカへの入国を阻止されている。ところが、そうして空きができた多くの職場にアメリカ人労働者は集まって来ず、カリフォルニアの農場は深刻な人手不足に直面している。

 カリフォルニアの農場では労働者の給料が上がっているが、そこにもトランプの反移民政策が一部影響しているのだ。賃金の上昇は、外国人労働者の多くが国外退去させられ、その結果、農場の雇用主たちが労働力を確保するために必死になっているからであり、賃金を上げられない農家は労働者を失い、農場を縮小したり、機械を導入したり、生産作物の減少を余儀なくされたりしている。

 だから、カリフォルニア州は移民当局による農場労働者の強制送還に抵抗しているのだ。非常にリベラルなカリフォルニア州のこの抵抗に対して、トランプが怒ったのは驚くことではない。しかし、トランプが同州を罰して保守派支持者たちから点数を稼ごうとしているとしたら、彼は基本的な事実を忘れているか、あるいは単純に自分の支持者を喜ばせることは、同州の経済を犠牲にする価値があると考えているのかもしれない。

 カリフォルニア州は世界第6位の経済都市だ。そのうち2%は農業に由来し、農業と食品業における100雇用ごとに、さらに94の追加雇用が創出されている。また同州は2015年に連邦政府に対して410億ドルの税金を払っており、これは他州よりも130億ドルも多い。実際、同年にリベラルな州は 保守的な州に比べて連邦税を30%多く支払っている。トランプの移民政策に反対するのはこうしたリベラルな州だ。

 外国人労働者はカリフォルニア州が連邦政府に税金を納めるのを助けている。外国人労働者たちは、自分たちがこの国に住むことを望まない保守的な州の人々のために果物や野菜を収穫する。GoogleやTwitterなどのIT企業で働く外国人技術労働者は、トランプが彼らを攻撃するために使うコミュニケーション・プラットフォームの作成を助けている。移民は、移民とは関係のない経済問題の犠牲者となっており、あらゆるレベルの外国人労働者に対するトランプの攻撃は、長期的にはアメリカに損害を与えるだけだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

【Red vs Blue】NYタイムス紙の詩織さん報道 レイプ被害者に対する日米の視点の違い

https://bizseeds.net/articles/622

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は米メディアが取り上げた日本の「詩織さんレイプ被害事件」について。通常は意見が対立するレッドとブルーだが……?!

「労働者」に関する記事

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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