ひとつ、はっきりさせようじゃないか Let’s get one thing straight

ひとつ、はっきりさせようじゃないか Let’s get one thing straight

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住で、トランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。トランプという大統領を生んだ環境を作ったのは、アメリカの分断を煽る右派メディアだと考えるリベラル派の筆者が、アメリカの再生に必要なことは何かを語る。


「でたらめの達人」を大統領にする環境を作った右派メディア

 まず、ひとつはっきりさせておこう。ドナルド・トランプは保守派ではない。彼は共和党員でもない。彼は自分自身のエゴのために揺るぎなく働く以外、基本理念がない。彼は恥も外聞もなく、何でも言い、何でもする。彼はペテン師で嘘つき、そして詐欺師だ。

 30年間にわたって米右派メディアは、彼らの利益に反する投票をする人々を説得し、共和党候補を当選させるために、有権者に向けて世論を二分させるようなメッセージを放送してきた。トランプは、この陰謀を乗っ取り、共和党だけでなく国全体を占領する機会を見逃さなかったのだ。彼にそれができるとは誰も思っていなかったが、それは間違いだった。彼について誰が何と言おうと、「でたらめの達人」としての彼の能力を否定することはできない。

 人間は、元来わがままな生き物だ。そして私たちは何はさておき、動物なのである。私たちは第一に、何としても生き延びるように遺伝子にプログラムされている。私たちの本能を超越し、自身より他人の役に立つことの方が立派な目標であることを理解して生活を送るには、努力が必要だ。日本社会は、この点に関してアメリカ社会よりも明らかに進んでいる。

 アメリカでは自身の成功や失敗は、誰からの助けも借りず全て自分の力によるものだと信じるように促される。この考え方でも、左派と右派を区別することができる。左派は、政府は全ての人のために公平な社会をつくる責任があると信じる傾向がある。しかし右派には、公平ではない自由が必要だと考える人が多い。それであれば、自分自身のわがままな興味を誰にも妨げられることなく追及できるからだ。「自動小銃を買って、それを所有する私の権利は、あなたの子供が学校で誰かに撃たれて死なないための権利をしのぐ」という右派の考え方は、よい例だろう。

今日の右派は社会への責任を放棄している

 しかし、右派はいつもこうだったわけではない。共和党は以前、「厳格な個人主義」を信じていた。「厳格な個人主義」とは、個々のアメリカ人は自分たち自身を助け、ビジネスに従事し、政府から干渉されることなく、思いのままに行動できる自由と権利を持っているということだ。彼らはビジネスが繁栄のエンジンだと信じていた。しかし彼らは、政府にとっての大きな挑戦はビジネスが自由に運営され繁栄する間も、「常に公益を一番に考えなければならないこと」だと知っていた。

 今日の右派は、社会への責任という考えを放棄している。利益を得ることを何よりも重んじ、企業利益のために完全に信念を曲げられている。もはや、基本的な人間の品性や常識、科学に対してまで常に反するところまで来ている。右派メディアが、嫌悪、恐怖、人種差別、卑劣、イスラム憎悪などのメッセージを放送する理由は、ごく普通の人間の 本能にシンプルにアピールすれば、自分に危害を与えるものから守ってくれる共和党に投票するように振れることを知っているからだ。今日の右派メディアは、微妙な考えの違いやニュアンス、事実さえも使わない。ドナルド・トランプのような反社会的な人間が頭角を現すことができたのは、このような噓とごまかしがまかり通る環境があるからだ。そして、彼がこのふざけた戦略を、党員を当選させるためのただの道具から、共和党の信念体系の全てに変えてしまったことも驚きではない。

 アメリカの中でリベラル派である私たちが、私たちの仲間ではあるが右派のアメリカ人に対する質問は、「あなたたちにとっての思想家はどこにいるのか?」、「あなたたちの良心はどこにあるのか?」。そして、「あなたたちのうちの誰が、今日のアメリカのふざけた考えの保守派に対して立ち上がるための知的な正直さをもっているのか?」、もしくは「自己を豊かにするというゴールのためだけに動き、ロシアのバックをつけてホワイトハウスを占領している無知な男に反対する勇気を持っているのか?」ということだろう。アメリカの再生は、右派が再び常識を発見する能力と、「保守派とは、共和党員とは、アメリカ人とは何か?」を思い出すことができるか否かにかかっているのかもしれない。

米メディアが絶賛 銃に厳しい日本は完璧に近い国

https://bizseeds.net/articles/453

アメリカの銃規制問題は複雑だ。銃を支持する派と反対派が一歩も引かぬまま、米国内の銃犯罪数は年々増え続けている。そして犯罪数の増加に比例するように、銃所持を支持派と反対派の声がさらに高まり、両者の歩み寄りはまったく見られない。  そんな中、BBC国際ニュースが今年1月に出した「なぜ日本は銃犯罪をほぼ根絶できるのか」という日本の素晴らしさを讃える記事が、フェイスブックなどのSNSを通じてアメリカで再び拡散されている。

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この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

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