【Red vs. Blue】トランプ大統領は金正恩の罠にかかるのか?

【Red vs. Blue】トランプ大統領は金正恩の罠にかかるのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は、両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事に、各派のアメリカ人が各々の見解を披露する。今回は、トランプ大統領が北朝鮮の要請を受けると発言したことについて、両派の意見を乞う。


 訪米中の韓国特使の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長が今月8日、北朝鮮最高指導者の金正恩がトランプ大統領との会談を要請したと伝え、大統領がそれを受けると表明したことで米国内では動揺が起きている。

 北朝鮮にとって、アメリカ大統領との会談は数十年来の目標だ。世界最大国の大統領との会談は、北朝鮮を世界に認めさせることを意味すると同時に、核保有国として承認されることを意味すると、北朝鮮は考えている。トランプ大統領の意志表明後、ホワイトハウスは「会談はあくまでも北朝鮮が核開発を放棄した上でのこと」と付け加えたものの、会談の可能性が発表されて以降、北朝鮮は沈黙を保っており、ワシントンポスト紙は、「会談が実現すれば、金正恩の思う壺にはまるのではないか。もしそうなれば、トランプ大統領は怒りのあまり戦争に突入しかねない」と憂慮している。

 これまで何度も核放棄に合意しながら守らなかった歴史を持つ北朝鮮だけに、リベラル派と保守派のアメリカ人はどのような意見を持っているのだろうか?

出典『ワシントンポスト』紙
Trump is walking into Kim Jong Un’s trap

【Red : 保守派】米メディアは北朝鮮問題に限らず、トランプには決して満足しない

The Media are never happy with Trump, regardless of North Korea

 金正恩との会談は罠ではないかって? ワシントンポスト紙の記者の訴えに回答するなら、その答えは「ノー」だ。率直に言って、ニュース・メディアは決してトランプには満足しない。だから、彼が北朝鮮の独裁者に会うにしても、現代の世界で最も野蛮な共産主義体制のリーダーを無視したにしても、報道機関は「トランプは何かが間違っている」と言うのだ。

 神経質なメディアはこの際ちょっと脇に置くとして、誰もが北朝鮮を核兵器で武装させたくはない。1987年、金正日が韓国政府を不安定化させようとして、韓国航空の858便を破壊し、乗客104人と乗組員11人を殺害するように指示した時に、北朝鮮に対して適切な対応が下されるべきだった。アメリカはその時に行動を起こして、停戦条約(1953年)に違反したことで、この世捨て王国に侵略すべきだったのだ。その後、この共産主義政権は言語に絶する酷い行いを犯してきた。まず、1990年代には50万人以上の自国民を飢饉による飢餓で死なせた。次に、何百人もの日本国民を彼らの意思に反して無差別に誘拐し、北朝鮮の諜報機関で働くことを強制した。そして男性、女性、子供を含む自国民20万人以上を掃討し、強制収容所に送り、死に至らせた。その他にも多数の理不尽な破壊や殺人、暗殺未遂など……おっと、うっかりしていた。西からの経済援助と引き換えに核兵器開発を停止するという合意を交わした後も、何度も核開発を進めていることも忘れてはいけないだろう。

 北朝鮮は、強制収容所の残酷さ、社会主義の旗のもとで韓国語圏を統一する夢を持つ妄想的指導者という点において、完全なるナチスドイツの現代版だ。しかしながら、ハリー・トルーマンを除くこれまでの全てのアメリカ大統領と違い、トランプは北朝鮮が大量破壊兵器の開発を続けるのであれば、軍事力によって北朝鮮を片付ける可能性を示している。トランプは罠にかかろうとしているのではない。むしろ金正恩に最後通告を直接手渡そうとしているのだ。北朝鮮が核開発を放棄するか、敵対的な乗っ取りに直面するかの取引なのだ。

【Blue : リベラル派】「狂人と交渉する上でのリスクは彼の問題であって、私ではない」—トランプ談

"As far as the risk of dealing with a madman is concerned, that’s his problem, not mine" —Trump

 米国は輸入鋼鉄に25%の関税を課すことになっている。ただし米国との軍事同盟国であり、公平な取引をしている国には関税を免除するかもしれないと言っていることから、米国に対して3番目に大きな鋼鉄輸出国である韓国は、関税の免除を要求している。ところがトランプは、オーストラリア、メキシコ、カナダはすでに関税から除外しているものの、韓国はまだ免除していない。さらに問題を複雑にするのが、米国は韓国に対して、自動車の安全基準を引き下げないためアメリカ車の販売台数を増やせないと怒っていることだ。トランプは「我々は軍隊で金を失っている」と言い、両国が貿易で合意できない場合、韓国に駐留する米国の治安部隊を撤退すると脅迫している。この貿易に関する不確実な状況は、米国の軍事協力を低下させるという脅しと相まって、米韓の間に意見の相違があることを示唆し、交渉において有利になると北朝鮮に思わせている。

 しかし、こうした不確実性にも関わらず、韓国はトランプが金に対して穏やかなアプローチを取ることを望むに違いない。予測不能な北の隣人が、より多くのミサイルを発射する新しい理由を見つけるという事態は、韓国が 最も避けたいことだ。トランプ自身は、彼の「交渉手腕」への思い入れと、ツイッターで見栄えのいい迅速な結果を獲得して世界のメディアの前で誇らしげに手を振るためには、なんとしても合意を得たい(内容の如何に関わらず)ことだろう。

 一方、トランプの娘イバンカは現在、父親の政府が恒久的な大使を任命できなかった韓国の事実上の大使である。トランプは、北朝鮮については慎重なティラーソン国務長官をクビにし、代わりに「このことについて間違わないように、(北朝鮮との交渉は)進んではいるが、譲歩はない」と語ったポンペオを任命。そして、米国の北朝鮮特別代表は辞任を発表した。

 こうした混沌の中で、スクリプトを無視して即興で話しては自分自身のチームさえも驚かせて楽しんでいるトランプ大統領は、これまで何十年もアメリカとのゲームをうまくこなしてきた国のリーダーを出し抜くことができるのだろうか。トランプは、金正恩との取引において南北の緊張の緩和を導くだけでなく、北の核の脅威を減らすことができるだろうか。「何が起こるか、誰にわかる?」という最近のトランプの言葉は、我々にほんの少しの安心さえ、もたらしてくれない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

アメリカ人は北朝鮮がどこにあるか知らない?!

https://bizseeds.net/articles/306

 米トランプ大統領と北朝鮮の金正恩政権間での口撃の応酬で、二国間を取り巻く情勢が緊迫している中、アメリカの一般市民の多くは「北朝鮮がどこにあるのかさえ知らない」という様子を捉えた街頭インタビュー映像が話題になっている。

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