ウォルマート、全米5,000店のレジ列棚から『コスモポリタン』誌を撤去

ウォルマート、全米5,000店のレジ列棚から『コスモポリタン』誌を撤去

全米に5,000店舗以上を展開する小売の巨大企業のウォルマートが、雑誌が最も売れるレジ列の棚から、女性ファッション誌『コスモポリタン』を撤去すると発表。同誌が女性の「性」を強調しているのが理由だというが……


なぜ、『コスモポリタン』誌だけなのか?

 全米展開する大手スーパーマーケット・チェーンのウォルマートが、同社5,000店舗のレジの横に並ぶ雑誌棚から、女性ファッション誌『コスモポリタン』を撤去することを発表した。

 『コスモポリタン』誌は、アメリカで1886年に創刊された長い歴史を持つ女性誌で、誰もが知っている有名誌だ。家族向けの雑誌だったが、1965年以降は女性の性についても気軽に取り上げる雑誌へ方向転換。女性のセックス、恋愛、セクシーに見える服装やメイクなどを全面に打ち出し、政治的にもリベラルな編集内容で人気を得ている。しかし、米保守派に指示が高い全国性搾取対策センター(National Center on Sexual Exploitation)は長年にわたり、同誌は『プレイボーイ』誌と並び、ファッション誌を擬したポルノだと訴えていた。今回のウォルマートの決定を同社は、長年の活動から得られた勝利だと言っている。

セクハラを訴える「#Me Tooムーブメント」に乗って

 ウォルマートの創設者であるウォルトン家は南部の保守派として知られているため、リベラルな同誌を排除しただけという説も出ている中、今回の決定には、セクハラに対して立ち向かう女性たちによる「Me Tooムーブメント」の勢いに乗る全米マーケティング効果を期待しての動きという見方もされている。

 同社広報は、「これは 企業としての判断だが、社会的な考慮もある」として、「同誌の購入を求める顧客がいれば提供するが、レジ横に並ぶ雑誌棚からは撤去する」とコメント。これに対して、女性の体の線や肌を強調した表紙の雑誌が人目につかない場所に移されたことを喜ぶ母親たちを中心にする保守派層と、女性が強くなり自立することを賞賛するリベラル派層による賛否両論の声がソーシャルメディアで飛び交っている。

 しかし、「#Me Tooムーブメント」はセクハラやレイプに対して立ち上がろうという趣旨であり、ポルノとは関係ない。ウォルマートは異なる二つの争点をすり替えているという意見もあり、ネットでは「#Me Tooムーブメントの真意はそこではない」、「コスモポリタンの排除は、#Me Tooムーブメントの真意を一切反映していない」という声も多く出ている。

 この決定における同社の真意がなんであれ、長年セクシャル路線を淡々と続けてきた『コスモポリタン』誌は、突如として全米の注目を浴びている。ウォルマートのレジ棚からは落とされても、この注目度は同誌にとっては棚ぼたかも知れない。

(参考記事)
Walmart to Remove ‘Cosmopolitan’ from Checkout Lines, Says It’s a ‘Business Decision’

フェイスブック社の性別カテゴリーで学ぶ、アメリカの性の多様性

https://bizseeds.net/articles/81

アメリカでは性の多様性を認識し、行政や企業がマイノリティーに配慮した政策や対策を取ることが多い。今やトランスジェンダーも安心して利用できるユニセックス・トイレ(男女どちらでも使えるサインを掲示したトイレ)の設置は沿岸都市部の大都市では当たり前だ。しかし「性の多様性」はアメリカの実際はどれほどなのだろうか?

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