ホームレスにコートと寝袋を! その温かな取り組みが話題に

ホームレスにコートと寝袋を! その温かな取り組みが話題に

23歳の女性が立ち上げた事業が、アメリカで最も評価される社会還元ビジネスとして高い評価を受けている。ホームレスのためのコートを作るこの団体が、フォーブスやCNNなど米大手メディアが絶賛される理由とは?


コートと寝袋が一体に!

 ミシガン州デトロイト市。かつて自動車産業で栄えたこの街は2013年に財政が破綻し、現在ではアメリカで最も治安が悪い街のひとつとしても知られている。少しずつ再開発も進んではいるものの、昼間でもひとりで街を歩くのは危険と言われており、貧困率、失業率は全米でもトップクラスだ。

 そんなデトロイトで、ホームレスのためのコートを作り続けているのが、The Empowerment Planという非営利団体だ。事業を立ち上げたのは2013年、創設者のヴェロニカ・スコットさんは若干23歳だった。デトロイトは冬が厳しく、夜間には氷点下10度以下まで落ち込むこともある。街の財政破たん後はホームレスも増えているが、ヴェロニカさんが手掛けるコートは寝袋にもなるという優れもの。一体どんなコートなのか、実物を紹介した映像はこちら。

絶対に失敗すると言われた取り組み

 ヴェロニカさんの事業が注目されているのは、コートの構造ばかりが理由ではない。最も評価されているのは、彼女がそのコートを製作する工場に、ホームレスの女性、特に子供のいる母親たちを雇っていることだ。この事業を立ち上げた際、周囲は彼女のこの方針に対し大反対した。前述の通り、デトロイトは犯罪率が非常に高いため、「絶対に上手くいかない」、「どんな事情でホームレスになったかもわからない人間に仕事をさせるのは危険だ」など、誰もが批判的だったという。

 しかし、彼女は諦めなかった。シェルターに住む、子供を持つ女性たちに積極的に声をかけ、工場への採用を続けた。現在は45人もの女性が、ヴェロニカさんの元で働いている。従業員のほとんどが、週の半分は学校に通い、高校や大学の卒業資格を得るために学んでいるという。彼女たちのほぼ全員が縫製未経験者だが、実地で技術を学び、自立を目指している。

 2012年以来、彼女たちが作ったコートの数は25,000着。一着あたりの制作コストは100ドルだが、必要経費はすべてスポンサーや寄付などによって、まかなわれている。高い社会貢献度と、便利で高品質なコートの製作はもちろんのこと、長年継続できる仕組みから考えられた事業そのものが賞賛されている非営利団体だ。

The Empowerment Plan
http://www.empowermentplan.org/

3億人の子供達を感染症から守れ! 米非営利団体のイノベーションとは?

https://bizseeds.net/articles/611

 年末のアメリカは、世の中に何かを還元するための寄付が盛んになる時期だ。アメリカには様々な活動を行う団体がたくさんあるが、なかでも今年、最も注目されたアイダホ州南西部に拠点を置く非営利団体を紹介しよう。

「女性」に関する記事

この記事の寄稿者

関連する投稿


シアトルのホームレス人口はなぜ減らない?

シアトルのホームレス人口はなぜ減らない?

アメリカ生活20年を過ぎた翻訳家の高柳準が、アメリカの文化とそれにまつわる矛盾を語る「アメリカで暮らしながら想うこと」。今回は多くの画期的な解決策が提示される「ホームレス問題」の中で、「この解決策ってどうなの?」という疑問が沸いてしまうような対策案について、リベラルな著者ならではの視点をまとめてみた。


女子大生起業家による注目の化粧品、「くたばれトランプ」!

女子大生起業家による注目の化粧品、「くたばれトランプ」!

アメリカではいわゆる放送禁止用語である、Fから始まる4文字の単語。この無礼な意味を持つ単語と現職の米大統領名のコンビネーションを堂々と商品名にした「F*ck Trump」というリップグロスが売れている。トランプ政権に真っ向から挑戦を挑んだ女子大生たちによる、タイムリーな商品に全米から注目が集まるワケとは?


ホームレスから年収1千万円以上の職に就く道を開くために

ホームレスから年収1千万円以上の職に就く道を開くために

サンフランシスコのダウンタウンの一角、テンダーロイン地区には多くの有名IT企業が並ぶが、ビルの前には行き場のない大勢のホームレスが佇む。この貧富の不均衡が明確な地区で二者間を近づける活動を行う団体がある。






最新の投稿


マリファナ入り食品市場が広がるアメリカ

マリファナ入り食品市場が広がるアメリカ

マリファナ合法州が一段と増えたアメリカでは、葉に火をつけて吸引するだけでなく、成分を飲み物に混ぜたり、スイーツや料理に加えたりと、様々な嗜好品が誕生している。しかも、この市場は来年以降、さらに広がる見込みだという。


アメリカの若者のエクササイズ事情:運動というライフスタイルのかたち

アメリカの若者のエクササイズ事情:運動というライフスタイルのかたち

ニューヨークにある名門コロンビア大学バーナードカレッジの学生、光田有希が、アメリカの大学生たちに人気のアプリやサービス、学生たちのトレンドなどの情報をお届けする。今回は、アメリカの若者たちのエクササイズのトレンドについてお届けする。


ポリオ似の謎の病におびえるアメリカ

ポリオ似の謎の病におびえるアメリカ

5歳以下の子供の感染率が高いことから、「小児麻痺」と呼ばれることも多いポリオ。人から人に感染する治療法がない難病だ。1988年以降、発症数は99.9%減少した病気だが、このポリオに“似た病気”がアメリカで増加しているという。


成功への選択「朝のコーヒーショップ」2018年12月7日~12月13日

成功への選択「朝のコーヒーショップ」2018年12月7日~12月13日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


テキサス人が選んだ2018年のフェイク・ニュース トップ5

テキサス人が選んだ2018年のフェイク・ニュース トップ5

 テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。年末を迎えた今回は、テキサスに暮らす保守派たちが選んだ「2018年のフェイク・ニュース トップ5」を著者の解説つきで紹介しよう。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング