シアトルを逃げ出したゲイのパパ友たち

シアトルを逃げ出したゲイのパパ友たち

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。すべての性的マイノリティーたちが、リベラル主義という訳ではない。リベラルに嫌気がさして引っ越しまでするゲイたちもいるのだ。


マイノリティーの中のマイノリティー

 「リベラル派は人種、文化、宗教、性の多様性に対して寛容」というのが、一般的なイメージだろう。しかし、これはある意味では正しくない。過激なリベラル派の場合、寛容性に欠けてしまうこともあるからだ。

 以前住んでいたシアトル対岸の島は、やや極端なリベラル派が多く住む場所だった。私のように有色人種で移民、女性であることは、彼らにしてみると自動的にマイノリティーの典型になってしまう。だから何かにつけ「マイノリティー」の代表としての意見を求められるのだが、それが苦痛でたまらなかった。マイノリティーはマイノリティーらしく、リベラルが求める教科書通りの反応をしないといけない。うっかり保守への理解など示そうものなら、説教されるのがオチだ。一度、「合法移民の立場からすると、不法移民の野放しは、やはりよくない」と発言したら、「トランプ大統領の手下か?」と叱られた。

ゲイでも時には保守的になる

 こうしたことが起きるたびに、「マイノリティーの中のマイノリティー」という気分になった。しかし、それは私に限ったことではない。子供の学校で仲良くなったゲイ・カップルのパパ友がいる。彼らも私と同じでリベラル的なところもあれば、保守的な部分もあるという人たちだ。彼らの発言は、リベラル派が想像する「ゲイらしさ」とは、時折かけ離れる。そのせいか、リベラル派の押し付けが苦痛になり、結局このカップルは、カナダに引っ越してしまった。

 カナダでは楽しく過ごしているらしい。ゲイの親同士のコミュニティーに入ったそうだが、そこでは子供のことになると結構、皆が保守的らしい。例えばワシントン州では、「小学校低学年から性別は選べる」というという授業が採用されると話したら、「いくらなんでも早いだろう?」と呆れられたという。彼らは「ちょっと、ほっとした」と言っていた。

 「多様性を求めるのであれば、本当はマイノリティーを意識する方がナンセンス」と彼らは言う。マイノリティーでも、思想は完全にリベラルとは限らない。それこそ、それも含めて、人は多様なのだ。

パープルと呼ばれる人――「中道派」とは誰を指すか?

https://bizseeds.net/articles/601

保守とリベラル派の対立が激化し、「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。保守でもリベラルでもない立場をとるアメリカ人の考えは、なかなか表に出てこない。中道派とは、どんな人たちなのだろう?

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この記事の寄稿者

青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。

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