高齢者用だった電動自転車、若いIT系プロフェッショナルに人気沸騰

高齢者用だった電動自転車、若いIT系プロフェッショナルに人気沸騰

交通法規の違いから、日本ではまだ流通がないアメリカ製のe-bike(イーバイク、電動自転車)。当初は高齢者のサイクリストを狙って作られたe-bikeだが、ここ数年、機能やデザインの改良が飛躍的に進み、ファッショナブルで便利な移動手段として、特にIT企業が多い西海岸で人気が沸騰。若い層の売り上げがうなぎ上りだ。


車でも電車でもなく、自転車で通勤したい

 通勤時の渋滞ほど、無駄な時間はないと考える人は多い。ニューヨークやロサンゼルスなど一部の大都市を除き、電車や地下鉄が整備されていないアメリカでは、ほとんどの人が自家用車かバスで通勤している。よって、大都市における朝夕の車の通勤ラッシュはひどく、場所によっては空いて入れば15分で移動できる距離に1時間以上かかることもザラだ。

 そんな状況下の通勤者たちの間で注目が高まっているのが、最近の電動自転車「e-bike」(イーバイク)だ。「e-bike」は、ペダルを踏むときの力を電動モーターがアシスト(補助)する“パワー自転車”というイメージで、急な坂道や長距離も走りやすい。シフトを変えればモーターの力で自走も可能だ。

  オートバイやスクーターは自動車と同く渋滞した道路を走らねばならないが、「e-bike」は歩道や自転車専用レーンを走れるため、時間短縮になる。デザインもロードバイクやMTBタイプ、折りたたんで持ち運べるものなども揃っている上、ペダルを漕ぐことはエクササイズにもなるため、デスクワークが多いIT系プロフェッショナルたちに特に人気が高いという。

もう2台目の車はいらない

これまでの「e-bike」は、価格が高いことがネックだったが、新自転車メーカー各社が機能的な商品を製作し、仲介業者を介さず直接、消費者に販売する方法を取ったことで市場価格が下がり、トレンド化した。最近では全米最大手メーカー直販である Rad Power Bikeのモデルも約1,500ドル(約15万円強)〜、 PIMバイシクルは約$1,000〜、Eveloは4年保証書付きで$2,000〜と、かなり購入しやすくなっている。

 ここ数年におけるモーターとバッテリー機能の大幅な改善後は、子供を乗せられるカート付きや、荷物配達用カートが付いた「e-bike」(下の写真)なども続々と登場。自動車に比べて車体値が安いのはもちろん、ガソリン代や車両保険代などが必要ないため、夫婦でそれぞれ1台ずつ車を所有していた家族が2台目の車を手放して、代わりに通勤用かカート付きのe-bikeを所有するなど、家計にも環境にも体にも優しいと注目されている。

 また、「カート付きe-bike」は交通渋滞を回避できるため、アマゾンなどの宅配便や日々の食材配達などにも有効活用できるのではないかと言われている。すでにワシントン州立大学では、キャンパス内の郵便配達車の代わりに、カート付き電動自転車を使って郵便配達をすることに切り替えた。

 「電動は自転車ではない、オートバイだ」という声もある中、その法規を定めた市町村も出ており、ワシントン州シアトル市では、最高時速が毎時20マイルまでのe-bikeは自転車レーンの使用を許可されている。

 地球環境保全が叫ばれる中、渋滞緩和が簡単にできるならば何でも取り入れたいという市町村は多い。アプリを使って、どこでも乗り捨て可能なレンタル自転車の普及も広まっている中、「車より自転車」の流れは、今後さらに進むと予想される。

参考記事:
The E-bike Craze Has Officially Hit Seattle

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