米スタバ「13億円の謝罪」決定の迅速さ 日本企業は真似できるか?

米スタバ「13億円の謝罪」決定の迅速さ 日本企業は真似できるか?

先月、米スターバックス店内で起きた同店スタッフによる人種差別事件。これに対する社会への謝罪姿勢として、同社は5月29日に米国内約8,000の直営店を一斉閉鎖し、人種的偏見をなくすための勉強会に全従業員を参加させる。13億円以上も掛かる判断を迅速に行った同社の対応に賞賛が集まったが、日本企業も外国人とのトラブル対策は万端


短時間で判断を下した同社首脳陣へ賞賛の声

 先月12日に米フィラデルフィアにあるスターバックス店内で起きた、同店スタッフによる人種差別事件。友人の到着を店内で待っていた黒人男性二人が、待っている間に化粧室を使用しようとしたところ店長が警察を呼び、その黒人男性客が大勢の警察官によって店内で捕らえられ、連行された。その様子を居合わせた客が撮影した映像はインターネットを炎上させ、人種差別を訴えるデモが起きる騒ぎに発展した。

 しかし、この炎上が早い段階で収まったのは、同社社長と会長の迅速なトラブル・シューティングゆえと言われている。同社首脳陣は事件当日の朝、同社広報からの電話で起こされた直後に米西海岸から飛行機に飛び乗り、半日以上かかる東海岸の現場に行って店舗スタッフや警察から事情を聞き、被害者に直接会って陳謝。当事者である同店店長の責任にして事件を終わらすことはせず、これが起きたのは社員教育が十分ではなかったからとし、今月29日に米国内の直営店約8,000店を一斉閉鎖して人種的な偏見をなくすための勉強会に全従業員を参加させると発表した。店舗を閉めて勉強会を行うことに掛かるコストは、約1,200万ドル(約13億1,650万円)。その判断を非常に短時間で行った同社のトラブル・シューティング力に、米ビジネス界の注目が集まった。

ロイヤル・カスタマーズを取り戻すためには

 スターバックス社は各地域に根ざし、地域住人のロイヤル・カスタマーズ(常連)に愛される店舗になることをモットーとしているだけに、今回の事件は店長が同社モットーの真逆となる行動をとったという、同社にとって最悪のケースだった。この悪いイメージを払拭するには、全店舗を閉めて反省するという大きなインパクトがある謝罪姿勢を社会に見せる必要があったと見られている。

 過去にアメリカで企業イメージを下落させた様々な事件(たとえばBPの石油タンカー事件、ユナイテッド航空の乗客機外引きずり出し事件、Equifaxの顧客名簿大量流失事件など)では上層部がしらんぷりを決め込んだが、それらのケースとは異なり、今回のスターバックス社上層部の対応は正しかったと褒めるビジネス・アナリストが多い。今から24年前、1994年に起きたレストラン・チェーン「Denny's」が、大勢の黒人顧客によって「同店の店員は黒人客だけに他人種客と異なる悪対応をする」と訴えられたケースでは、「Denny's」は5,400万ドル(約55億強)の和解金を支払ったが、このケースに比較しても、今回の「約13億円のコスト」は、「企業の評判を守るために価値のある金額」だと言う意見が多く聞かれる。

 東京オリンピックを前に、日本にも外国人観光客や外国人労働者たちが続々と増えているが、それに伴って人種にまつわるトラブルが増える可能性もある。レストランや販売店、宿泊施設、交通、レジャー施設や美術館など、特に外国人客が訪れるサービスを提供している企業では、明確なトラブル対策を用意しておくのが賢明だろう。

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