アメリカの中間選挙とは? 入門編

アメリカの中間選挙とは? 入門編

アメリカでは今年11月6日に中間選挙が行われる。中間選挙は事実上、大統領への与信投票と言われ、現トランプ政権も、この選挙によって政権への是非が国民に審判されることになる。また、この選挙で大統領率いる共和党が勝利するか否かで、現政権が残り2年で行う政策の内容はもちろん、次期大統領選への動きが大きく変わる注目の選挙でもある


大統領任期のちょうど真ん中で、国民の信任を問う

 11月6日の中間選挙は、議会選で435の下院全議席と上院33議席(総議席は100)が改選され、同時に全米各地で州知事選も開催される。米大統領の任期は4年だが、下院議員の任期は2年、上院議員の任期は6年だ。上院議員は2年ごとに3分の1が改選されるため、大統領任期の中間地点にあたる時期に選挙が行われる。

 トランプ政権になってからの米議会は、多数党が大統領と同じ共和党だ。そのため政策が実現しやすかったが、中間選挙で共和党が負けた場合には現状が大きく変わる。トランプ政権の支持率は、5月28日時点で支持率49%、不支持率50%(Rasmussen Report調べ)。減税法案の成立後は、共和党支持者の8割程度が現政権を肯定的に受け止めていると言われている。

中間選挙の予備選はすでに始まっている

 中間選挙の総選挙は11月6日だが、各州における予備選は早い州ではすでに始まっている。最も早かったのは3月6日に行われたテキサス州予備選。アメリカでは州ごとに選挙法が異なるため、予備選の後に決選投票を行う州も多く、総選挙後の12月以降に決選投票が行われる州もいくつかある。Federal Voting Assistance Programに各州の予備選と予備選決戦日程が記載されている。

• 3月6日:テキサス州
• 3月20日:イリノイ州
• 5月8日:オハイオ州、ノースカロライナ州、インディアナ州、ウエストバージニア州
• 5月15日:ペンシルヴェニア州、ネブラスカ州、アイダホ州、オレゴン州
• 5月22日:ケンタッキー州、アーカンソー州、ジョージア州、テキサス州予備選決選
• 6月5日:カリフォルニア州、アラバマ州、ミシシッピ州、サウスダコタ州、アイオワ州、モンタナ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州
6月12日:バージニア州、サウスカロライナ州、ノースダコタ州、ネバダ州、メイン州
• 6月19日:アーカンソー州予備選決選、コロンビア特別区
• 6月26日:コロラド州、メリーランド州、ユタ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州予備選決選
• 7月17日:ノースカロライナ州予備選決選、アラバマ州予備選決選
• 7月24日:ジョージア州予備選決選
• 8月2日:テネシー州
• 8月4日:ヴァージン諸島
• 8月7日:ワシントン州、ミズーリ州、ミシガン州、カンザス州
• 8月11日:ハワイ州
• 8月14日:バーモント州、ウィスコンシン州、コネチカット州、ミネソタ州
• 8月21日:ワイオミング州、アラスカ州
• 8月25日:グアム
• 8月28日:アリゾナ州、フロリダ州、オクラホマ州予備選決選
• 9月6日:デラウェア州
• 9月11日:ニューヨーク州、ニューハンプシャー州
• 9月12日:ロードアイランド
• 9月18日:マサチューセッツ州
• 11月6日:総選挙
• 12月4日:アーカンソー州総選挙決選
• 12月8日:ルイジアナ州総選挙決選
• 翌年1月8日:ジョージア州総選挙決選

米議会の下院と上院とは?

 米議会下院は各州で人口比ごとに割られた議席が定められているが、 上院は州の代表であり、住民による直接選挙によって全米50州から2名ずつが選ばれる。米両院の権限はほぼ対等で、下院には予算先議権と大統領の弾劾訴追権などがあり、上院には条約締結権、閣僚の承認、大統領の弾劾裁判権等がある。現在の議席数は:

下院:共和党239議席/民主党194議席 
上院:共和党51議席/民主党47議席+独立系2議席 

 下院は共和党が圧倒的多数だが、上院はほとんど差がないため、上院選の行方に注目が集まっている。今回の選挙で、上院は三分の一の議席が改選される。ここで民主党が多数党に返り咲くと流れが大きく変わるが、再選率が6割〜8割と高い議会選の歴史を見ると、民主党が苦戦する可能性が高いといわれている。ただし、今回は引退を表明している共和党議員が複数いるため、多数派の共和党も中間選挙は予断を許さない状況だ。

 また、多数派である共和党内が一枚岩ではなく、党内の保守派、主流派、過激な反主流派(過激な反移民、反自由貿易等)と大きく三派に分かれ、党内にトランプ大統領に反感を抱く人々が存在することで内部抗争の可能性が指摘されている。そうなると民主党にはチャンスが生まれるため、今回の中間選挙は再びアメリカの政治に大きな動きが出る可能性を秘めている。今後の動きに注目だ。

中間選挙に向けて始動するアメリカ

https://bizseeds.net/articles/712

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いトランプ大統領率いる政権も2年目に入り、今年は中間選挙がある。保守から勝利を奪還したいリベラル派市民たちが開く集会の数も増えてきているが、そんな集会でリベラルたちは何を語っているのだろうか?

アメリカの「社会・政治」に関する記事

この記事の寄稿者

関連する投稿


【Red vs. Blue】右派には悪夢 左派が熱狂するアレクサンドリア・オカシオ=コルテス

【Red vs. Blue】右派には悪夢 左派が熱狂するアレクサンドリア・オカシオ=コルテス

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は下院リベラル派の新人女性議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏が全米の注目を浴びていることについて。


スタバ元CEO、米大統領選へ出馬を検討中

スタバ元CEO、米大統領選へ出馬を検討中

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、リベラル派で知られるスターバックス社の元CEO、ハワード・シュルツ氏が、来年の米大統領選に出馬を検討中であるとインタビューで話したことについて。


テキサス人はなぜ「国境の壁」建設を歓迎するのか?

テキサス人はなぜ「国境の壁」建設を歓迎するのか?

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回はメキシコとの国境隣接州に住むテキサスの人々の多くが、トランプ大統領の壁建設を支持する理由を紹介しよう。


【Red vs. Blue】大統領悲願の国境の壁、国境沿いの住人の生活はどうなるのか?

【Red vs. Blue】大統領悲願の国境の壁、国境沿いの住人の生活はどうなるのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は、トランプ大統領による国境壁建設案が、国境周辺で生活するアメリカ人の権利を侵害する問題について。


アメリカの本当の顔とは?

アメリカの本当の顔とは?

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、時代の変化に柔軟性のない共和党(保守)に対して、民主党(リベラル)がいかにそうした変化を受け入れて柔軟であるかを軸に、アメリカのあるべき今後の姿について語る。






最新の投稿


「名門校に通うと、偏るから行かない!」という選択

「名門校に通うと、偏るから行かない!」という選択

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。ハーバード大学やスタンフォード大学――誰もが知る名門校だが、合格しても、このような名門大学には行きたくない人もいるらしい。


成功への選択「素直な心」2019年2月22日~2月28日

成功への選択「素直な心」2019年2月22日~2月28日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


ロサンゼルス発 キャンピングカーで泡パーティーを!

ロサンゼルス発 キャンピングカーで泡パーティーを!

結婚式などのお祝いをはじめ、パーティーシーンで欠かせないのが、シャンパンやプロセッコなどスパークリング系ワイン。楽しいひと時をより楽しくしてくれるだけでなく、インスタ映えする新しいパーティー・サービスとは?


大都市に住むアメリカ人たちが知らないテキサス人の真の姿

大都市に住むアメリカ人たちが知らないテキサス人の真の姿

米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、保守派が多く住むと言われるテキサス州で、人々はどのように軍人を見ているのかがわかるニュースにまつわる話。


学校よりも面白い? ホームスクールでオンライン教育

学校よりも面白い? ホームスクールでオンライン教育

アメリカでは多くの子供たちが学校には通わず、親が自宅で教える「ホームスクール」で勉強している。こうしたホームスクールの多くは、オンライン教育を上手に取り入れており、数あるオンライン・プログラムの中には、『ハリー・ポッター』がテーマの科学の授業などもあり、人気を呼んでいる。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング