過激な性教育プログラムに揺れるサンディエゴ

過激な性教育プログラムに揺れるサンディエゴ

カリフォルニア州サンディエゴの公立中学校で取り入れられる予定の性教育プログラムの内容が「度を越えており問題がある」と炎上している。学校で教えるには相応しいとは言えない内容のカリキュラムに対して、反対派の教員や親たちは、日々デモを行っているというが……。


抗議で学校をボイコット

 カリフォルニア州サンディエゴ市が定めた、中学生向けの新しい性教育プログラム『Sexual Health Education Program(通称SHEP) 』が物議を呼んでいる。このプログラムは10代の妊娠と性感染症の予防などを目的として構築されたもので、その中には「性的健康」について詳細な情報も盛り込まれている。

 しかし、市の教育委員会が語る「性的健康」の内容は度を越えており、ポルノまがいであるという懸念から、多くの教育者や子供の親たちがこのプログラムに猛反発。聖職者なども反対運動に加わり、今年に入ってから、その抗議活動が活発になっていた。そして、とうとう5月29日に、一部の親たちがこのプログラムへの反対姿勢を示すために、子供たちを学校に行かせないというボイコットを呼びかける事態にまで発展してしまった。

“It’s Perfectly Normal(完全にノーマル)”……ではない!

 このプログラムでは、『It’s Perfectly Normal』という書籍をカリキュラムに加えている。しかし、その内容がエロティック過ぎ、教育教材には不適当というのが争点だ。この問題を報道したニュース番組でも、「残念ながら、放送することは出来ません」とイラスト部分にモザイクをかけたほどである。

「さあ、試してみよう!」と紹介される内容には、マスターベーションの方法、アナルやオーラルセックスなど、アダルトビデオかと疑いたくなるような内容が含まれている。しかも、プログラムでは生物学的な性別に違和感がある場合は、親に隠れて性別を変えても良いという誤解を与えかねない内容も取り入れられているという。

 これに反発している親たちは、「私たちは性教育に反対しているのではなく、年齢にふさわしく、医学的に正確で、コミュニティーの価値観に合った性教育を望んでいるだけだ」と話している。性の多様性やマイノリティーへの差別をなくす配慮は、時代の必須でもある。しかし、学校という教育現場でこれらの問題に取り組む場合には、それが子供の成熟に適した内容であることは大前提であろう。まだまだ収まる様子を見せないサンディエゴの性教育問題、どの方向に決着するのだろうか。

教材に使われている『It’s Perfectly Normal』

参考ニュース:
https://www.nbcsandiego.com/news/local/Opt-Out-Day-Protest-Sex-Education-Program-San-Diego-Unified-School-District-483934051.html

トランスはジェンダーだけではない?

https://bizseeds.net/articles/652

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。沿岸都市に住んでいるとLGBTの存在はすっかり社会に浸透した感があるが、アメリカのマイノリティは最近さらに複雑化している?!

アメリカの「学生」に関する記事

この記事の寄稿者

関連する投稿


学校よりも面白い? ホームスクールでオンライン教育

学校よりも面白い? ホームスクールでオンライン教育

アメリカでは多くの子供たちが学校には通わず、親が自宅で教える「ホームスクール」で勉強している。こうしたホームスクールの多くは、オンライン教育を上手に取り入れており、数あるオンライン・プログラムの中には、『ハリー・ポッター』がテーマの科学の授業などもあり、人気を呼んでいる。


共和党の民意無視がアメリカを蝕む

共和党の民意無視がアメリカを蝕む

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、先の中間選挙で共和党州から民主党州に変わった州の現知事が、退任前に新しく就任する知事の権力を制限する法律を制定しようとする動きについて、著者の憤慨をまとめた。


マリファナ入り食品市場が広がるアメリカ

マリファナ入り食品市場が広がるアメリカ

マリファナ合法州が一段と増えたアメリカでは、葉に火をつけて吸引するだけでなく、成分を飲み物に混ぜたり、スイーツや料理に加えたりと、様々な嗜好品が誕生している。しかも、この市場は来年以降、さらに広がる見込みだという。


米連邦最高裁の均衡が崩れた危険なアメリカ

米連邦最高裁の均衡が崩れた危険なアメリカ

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、トランプ大統領が指名した米連邦最高裁の新しい判事が、多くの米国民が反対する中でも就任したことについて、リベラル派の著者がリベラルの視点から意見する。


キッズがおねだりする洋服の秘密

キッズがおねだりする洋服の秘密

最近、アメリカの子供たちの間で爆発的な人気を集めている洋服がある。ロサンゼルスのメーカーが販売している「Cubcoats」だ。可愛くて便利な上着の全容とは?






最新の投稿


有罪に見えにくい服装とは? 法廷スタイリストが選ぶセレブの出廷服

有罪に見えにくい服装とは? 法廷スタイリストが選ぶセレブの出廷服

巨額の資産を持つドイツの令嬢になりすましてニューヨークの社交界に入り、高級ホテルの宿泊費やプライベートジェットのフライト代などを踏み倒して有罪判決を受けていた女性詐欺師、アナ・ソロキン。今月、同被告に4~12年の禁固刑が言い渡されたことで再び法廷での彼女の服装や、他の女性被告たちの服装に注目が集まった。


今週の神秘ナンバー占い(2019年5月17日〜23日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年5月17日〜23日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


【Red vs. Blue】全米ライフル協会に迎合するトランプ、国連武器貿易条約から離脱か?

【Red vs. Blue】全米ライフル協会に迎合するトランプ、国連武器貿易条約から離脱か?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は、銃規制に反対する全米ライフル協会を支持するトランプ大統領が、同協会の会合で「国連武器貿易条約」から離脱すると発言したことについて。


アメリカでは4人に1人がスマートスピーカーを所有している

アメリカでは4人に1人がスマートスピーカーを所有している

進化を続けるオンライン事情により、日々豊かに変化していく人々の暮らし。そんな世界で賢く生きる術とは? デジタルマーケティング専門家、ティム・ポールが解説するコラム『オンラインと僕らの生活』。アメリカの一般家庭におけるスマートスピーカーの普及率が上昇し、成人の4人に1人が所有するといわれるアメリカ市場の現状とは?


米大手メディアはなぜキリスト教徒迫害の現状を伝えないのか?

米大手メディアはなぜキリスト教徒迫害の現状を伝えないのか?

米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、欧米にはびこる「ポリティカル・コレクトネスの風潮」から、イスラム教徒の迫害は欧米でニュースになるのに、キリスト教徒の迫害は報道されないという現状について。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング