ドラッグクイーンがスーパーヒーロー?

ドラッグクイーンがスーパーヒーロー?

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。Netflixが発表した新作の子供向けアニメシリーズ『Super Drags』が、波紋を呼んでいる。その驚愕の内容とは?


予告編をみて絶句! 本当に子供向けなのか?

 友人から「子供向けアニメのことで、会合があるから来て欲しい」と連絡があった。会合の会場は地元で最も大きな教会。議題はNetflixが発表した新作の子供向けアニメシリーズ、『Super Drags』についてだった。

 このアニメの主人公は、ドラッグクイーンたちだ。「昼間は百貨店で働いていて、意地の悪い上司に嫌がらせを受けている」という設定だが、夜になると、彼らはコルセットを締め、セクシーな衣装に身を包み、Super Dragsに変身する。つまり、悪と戦う正義の味方になるのだ。ドラッグクイーンがスーパーヒーローという珍しい設定に加え、子供向けとは思えない性描写があるため、署名を集めて放映を止めさせる運動が広がっているとのことだった。

 このアニメの予告編を見れば、反対運動の理由が容易に推測できるだろう。

保守派もリベラル派も概ね大反対

 会合では、このアニメがいかに子供にとって悪影響しかないかが議論された。参加者たちの思想背景はバラバラで、保守派もリベラル派も混じっていた。通常、政治的な議論に事が運ぶと、保守派とリベラル派は相交えないものがあるのだが、このアニメについては誰もが難色を示しているように見えた。

 ところが、そこに集まった人の中に「性の多様化が認められる新しい時代なのだから、こうした新しい試みが歓迎されるべきだ」と言い張る2人の男性がいた。彼らは保守派を中心とする「時代遅れ」な性の価値観に異議を唱え続けた。「このアニメが子供たちに相応しいか否か」を議論しているはずが、主題はだんだん彼ら個人が持つ価値観の披露となっていき、シビレを切らしたある人が「あなたたちは独身なので、子供を持つ親の不安が分からない」と発言したことで、会場は一触即発の事態になった。「子供がいるという選民意識で、独身を傷つけるのは許せない」と、男性たちが叫んで激昂したからだ。しかし、結局その男性たちは激昂していることを理由に警備員によって会場からつまみ出されてしまった。

 こういう議論があるたびに思うことは、「ポリティカル・コレクトネス」の問題だ。誰かにとっての正論は、誰かにとっては異論になる。「多様性」を社会がどう受け止め、どう受け入れるかについて、考えさせられる一日だった。

「PC」:ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness)という常識

https://bizseeds.net/articles/94

アメリカに住んでいると、アメリカ人たちがしきりに「PC」という言葉を使うのを耳にする。ちなみにこの「PC」とは、「パーソナル・コンピューター」の略ではない。さて、アメリカでPCと言ったら何のこと?

アメリカの「リベラル派」に関する記事

この記事の寄稿者

青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。

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