エリートだけが会員になれるデーティング・アプリは社会問題?

エリートだけが会員になれるデーティング・アプリは社会問題?

  アメリカでも結婚相手やパートナーとの出会いに繋がるオンライン・デーティング・サービスの需要は高く、各社は年齢層や地域を限定したり、人種や宗教で括ったり、真剣度の差などを売りにして競っている。そんな中、「会員になれるのは、男女ともエリートのみ」と厳しく限定したデーティング・アプリが注目されている。


パワー・カップルのためのデーティング・アプリ「League」

 両者ともに高学歴、高収入のカップルのことを「パワー・カップル」と呼ぶが、お互いに高いパフォーマンスを求められる仕事を持つ多忙な二人が出会うのは、なかなか難しい。そんな中、スタンフォード大学でMBAを学んでいたアマンダ・ブラッドフォードさんが、自身のように「成功したいと大志を抱く人同士」を対象にしたデーティング・サービスが必要だと思い立ち、2015年にサンフランシスコで立ち上げたのが、「League」(リーグ)だ。

 その名前からアイビーリーグを連想するかも知れないが、まさにその通り。「そこに属せる優秀な人だけのエリート・グループ」というブランディングを明確に打ち出したサービスだ。キャッチフレーズは、「賢く会おう」。立ち上げ当初からメディアでも話題にしたが、若く美しい女性起業家のお手並み拝見的な、やや批判的なコメントも多かった。

 それから約3年。今やニューヨークなど全米17都市で展開し、30万人の会員を抱え、ウエイティング・リストにはなんと50万人もの申し込み者がいるというサービスに成長した。会員の質を保つため入会審査に時間がかかり、場合によっては、会員申請をしてから可否がわかるまで数カ月待ちだという。

不平等を売り文句にして何が悪い?

 日本でも「男性会員は高学歴、高収入者のみ」という広告を出している結婚相談所はあるが、「League」の場合は、女性も高学歴、高収入者でなければ入会できない。たとえば年収1千万以上の二人が夫婦になると、かなり裕福な生活ができるだけでなく、ブラッドフォードさんによると「高学歴の人は上昇志向が高いので、人生の目標にも共通点が多い」という。

 男性会員の「高収入」をうたったライバル企業は多い中、「League」が健闘しているのは、ウエイティング・リストが長いことや、マッチングに対して速やかに返答しない会員は、「全員の時間の無駄になるため、キックアウトする」という強気な姿勢なども支持されているようだ(再び25ドル支払わないと会員には戻れない)。

 しかし、こういうことを推進すると、さらなる社会的な格差を生むと指摘する専門家や貧困支援団体らの声もある。格差問題の理由として引用されることもあるアプリだが、ブラッドフォードさんは「自分のスタンダードが高い人同士で付き合いたいと思うことは、何も悪くない」と気にする様子はなく、さらに良いマッチングができるシステムの開発や宣伝などに余念がないそうだ。

 現在このアプリが使用できるのは、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ワシントンDC、ダラスなど大都市のみ17地域だが、この様子だと今後はさらに使用できる都市が増えそうだ。

その他のアメリカ人の「恋愛」に関する記事

この記事の寄稿者

関連する投稿


アメリカ南部における恋人の見つけ方

アメリカ南部における恋人の見つけ方

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は、都会と地方では結婚年齢の平均値に差があるアメリカで、南部地域住民は結婚時の平均年齢が比較的若いと言われる所以について。


文化の「盗用」について考える

文化の「盗用」について考える

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。アメリカに住んでいると、たびたび話題になるのが「文化の盗用」。当事者としてこの問題を扱うことになって感じたこととは?


アメリカにおける結婚と現実

アメリカにおける結婚と現実

国際結婚をする人が増えているが、アメリカ人と結婚する場合は、上手くいかなくなった時のリスクも考えた方がよさそうだ。


アメリカで支持される出会い系アプリ 〜新しい恋愛の形〜

アメリカで支持される出会い系アプリ 〜新しい恋愛の形〜

ニューヨークにある名門コロンビア大学バーナードカレッジの学生、光田有希が、アメリカの大学生たちに人気のアプリやサービス、学生のトレンドなどの情報をお届けする。今回紹介するのは、周囲の大学生やシングルスたちから支持されている数々の出会い系アプリだ


プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

今年の5月にイギリス王室のヘンリー王子と結婚したアメリカ人の女優、メーガン・マークル。サセックス公爵夫人になったリアル・プリンセスは、これまで皇室に入った女性たちよりも親しみやすい雰囲気があるとファンが多い。「メーガンのようになりたい!」と思っている熱烈ファンたちのトレンドを紹介しよう。






最新の投稿


アメリカでタイダイ柄がカムバック! 政治の影響がファッションに

アメリカでタイダイ柄がカムバック! 政治の影響がファッションに

1960年代のアメリカを一世風靡したヒッピー・ムーブメント。その頃の若者たちが着ていたカラフルな絞り染め、「タイダイ柄」を覚えているだろうか? 1950年代の厳しい社会的規範から逃れて自由を謳歌し、個人を表現するカウンター・カルチャーのシンボルとして大流行したタイダイ柄が、アメリカで再び流行り出しているようだ。


成功への選択「時よ、止まれ!」2019年3月15日~3月21日

成功への選択「時よ、止まれ!」2019年3月15日~3月21日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


人工中絶はいつでも出来る?

人工中絶はいつでも出来る?

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。米バーモント州で、妊娠週に関係なく人工中絶できるという法案が可決したことで教会は大騒ぎ。アメリカはどこに行くのだろう?


アメリカで「チーズ・ティー」は流行るのか?

アメリカで「チーズ・ティー」は流行るのか?

「抹茶」がアメリカで初めてブームになったとき、そのまま抹茶が茶市場に定着すると思った人はどれほどいただろうか? あとに続いた「コンブチャ」も「ボバ・ティー」も同様に一過性ではなく定着した。そんな中、中国や台湾で流行っている「チーズ・ティー」がアメリカに進出したが、第4の流行茶になるだろうか?


トランスジェンダーの選手とそうでない選手の競争はフェアーなのか?

トランスジェンダーの選手とそうでない選手の競争はフェアーなのか?

米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、生まれたときの性別と異なる性別で活躍するトランスジェンダーのスポーツ選手たちが、そうでない選手との身体能力差が大きく議論されている問題について。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング