「大手新聞の一斉トランプ批判」への批判

「大手新聞の一斉トランプ批判」への批判

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。全米300紙以上の新聞が8月18日、一斉にトランプ大統領を批判する社説を掲載した。そして、この批判への批判もチラホラ……。


トランプ大統領は国民の敵なのか?

 今年は中間選挙の年ということもあり、2年後の大統領選挙におけるトランプ大統領の再選を阻止しようという動きがよく見られる。この「新聞の社説騒動」も、その一環かもしれない。この騒動を歓迎したリベラル派は多かったと思うが、私が住んでいる地域は、リベラル派と保守派が入り交ざった土地なので、今回、新聞社が取った行動には批判の声も多く聞かれた。

 それは保守派にとって、トランプ大統領は必ずしも「国民の敵」ではないからだ。それを裏付ける証拠はいくつもある。トランプ大統領の支持率は40%をキープ中で、経済政策の評価も高い。失業率は大統領就任後、如実に減り続けている。労務省のデータをみると、アフリカ系アメリカ人の失業率に至っては、1972年以降過去最低の6.8%(昨年12月時点)だ。彼が、マイノリティの雇用促進に近年最も貢献している大統領であることは、データが明らかに示している。しかし彼の国や社会への貢献が、「トランプ大統領だから」という理由で正しく評価されない――これが保守派の見解だ。

ヘイトから自由と平等は生まれない

 300の新聞社による一斉トランプ批判が出た翌日は、ため息が出た。なぜなら、保守派とリベラル派の主張を、両方耳にしなければならなかったからだ。案の定、ある人は新聞社の勇気を称え、またある人は「あれはまさにヘイトだね」と失笑していた。私は二つの主張の中間で悶々と考えてしまう。そして、やはり「ヘイトから自由と平等は生まれない」という結論になる。

 フェイクニュース批判、言論の自由の主張、ヘイト撲滅――トランプ大統領がホワイトハウスの主になって以来、メディアが訴え続けていることだ。しかし、自由と平等を訴えようとしているリベラル・メディアたちは、時に爆走するあまり、自分たちの行動こそが「ヘイトだ」ということに気づかない。リベラルの良識派と話すと、誰もがその懸念を口にするし、彼らは「メディアが無駄に騒ぐことが、トランプ大統領を絶対的な存在にしている」ともみている。その見解は正しいだろう。

 日本でどう報道されているかは分からないが、とにかくトランプ大統領は強い。いろいろなデータを見る限り、支持率は低くないし、彼の対抗馬も見当たらない。彼があと6年間、ホワイトハウスに君臨すると予測する人は少なくなく、私もそのひとりだ。そしてその予測が当たれば、メディアとトランプ大統領のイタチごっこは、あと6年も続くことになる。その間、どんなにこの国が繁栄し、ビジネス・チャンスに恵まれている状況になったとしても、そのことは海外には上手く伝わらないかもしれない。実に憂鬱である。

この記事の寄稿者

青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。

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