米中間選挙: 保守派の見解「信じるな!世論調査とCNN」

米中間選挙: 保守派の見解「信じるな!世論調査とCNN」

テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は中間選挙に向けて、世論調査の結果を掲げて議論するリベラル派に対して、「その質問はフェアーか?」と質問の仕方に疑問を持つ保守派の声を現地からレポートする。


フェイク・ニュースを連発するCNN

 米大手メディアのジャーナリストのほとんどが左傾なのは、何も今に始まったことではないが、トランプ政権誕生後は9割方のメディアがトランプ憎さのあまりに公正を欠いたレポートを出したり、トランプに不利になる誤報を流す頻度が激増している。

 この傾向が著しいのはケーブルテレビ局のCNNで、昨年は「ロシアの投資ファンドとトランプの腹心、アンソニー・スカラムーチが談合していた」というフェイク・ニュースを流した後、記者と編集者の3名がクビになった。つい最近も「ローゼンスタイン司法副長官が辞任した」という誤報を複数回も流し、「トランプ政権が混乱している証拠だ」と伝えた。

 そのため、保守派は大手メディアの報道をほとんど信じなくなっている。トランプが激戦州の議員を応援するための集会を開き、フェイク・ニュースを糾弾するたびに、そこにいる観衆が必ず「CNN sucks!」(CNNは最低だ)と叫んでいる。

世論調査の文言は左傾している

 保守派は、大手メディアだけでなく、世論調査というものも信じていない。

 大手メディアは7月以降、「どの世論調査を見ても、国民の約7割がトランプ政権の不法移民対策への怒りを感じている。この怒りが民主党支持者を投票所に駆り立て、中間選挙は上下両院で民主党が勝つ」と言い続けている。謝意よりも怒り(今回の場合はトランプがもたらした好景気への謝意よりも不法移民対策への怒り)の方が強い機動力になることは、どの政治学者も言っている。

 しかし、多くの世論調査は電話によるアンケートで、良識的に電話をかけてもいい時間帯(朝10時〜夜8時頃まで)に行われるので、ごく普通に働いていて夕方はゆっくりしたい人(ブルーカラーの人や農業酪農従事者)、兵士、夜勤の人たちなどは対応できない。しかも、この層はまさしくトランプ支持者なので、保守派は「我々の意見は世論調査に正当に反映されていない」と信じているのだ。

 メディアが挙げている世論調査のほぼ全てが、“Is the Trump administration's policy of separating migrant children from their parents acceptable or unacceptable to you?”「移住してきた子どもと親を引き離すというトランプ政権の政策を、あなたは許せますか、許せませんか?」という問い方をしている。「親子を引き離すことが許せる」と答える人はまずいないだろう。

 全く同じ質問を、「オバマ政権は不法移民増加抑止政策として不法移民の親子を別々に収容していた。このポリシーを継承するトランプ政権に賛同か、反対か?」と尋ねたら、きっと賛同派が増えるはずだ。さらに、「子ども連れの不法移民の生活保護費を捻出するために米国民に増税することに賛成か、反対か?」という問いの後に、「不法移民増加抑止政策として不法移民の親子を別々に収容することに賛成か、反対か?」と続ければ、賛成派が一気に増加するだろう。

 また、シンプルに「トランプ政権の不法移民対策に賛成か、反対か?」という世論調査では、共和党支持者にも反対派が多いのは事実である。しかし、これはトランプが「子どもの時に親に連れられて不法入国した不法移民に市民権を与える」と言ったことや、壁がまだ建設されていないことへの不満の表れにすぎない。こうした不満を抱いている共和党支持者は不法移民流入に断固として反対で、不法移民大幅受け入れを目指す民主党を阻止するために、雨が降っても槍が降っても投票所に向かうはずだ。

 だから、世論調査においてトランプの不法移民対策がどれほど不人気でも、「だから民主党が勝つ」という推測の根拠にはならないのである。英語では、世論調査も選挙の投票もpollと言う。保守派は何十年も前から「唯一当てになるpoll(世論調査)は選挙当日のpoll(投票)だ」と言っているが、世論調査を信じているリベラル派のアナリストたちは「民主党が下院では圧勝、上院でも勝つ」と言っている。どんな結果が出るか、中間選挙に乞うご期待と言ったところだろうか。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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