【Red vs. Blue】トランプ大統領「中間選挙で下院共和党が負けても私の責任ではない!」

【Red vs. Blue】トランプ大統領「中間選挙で下院共和党が負けても私の責任ではない!」

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は中間選挙を前にトランプ大統領が「もし中間選挙で共和党が負けても自分の責任ではない」と発言したことについて。


 11月6日は米下院議員の中間選挙。選挙を直前に控え、民主党優勢の声があがり、共和党が議席数を失う可能性も出てきた。トランプ大統領はAP通信のインタビューに対して「たとえ共和党が負けても自分の責任ではない。私は共和党候補者を応援している」と答え、勝敗の責任は自分がないことを明言した。今回の選挙キャンペーンについて同大統領は「自分ほど選挙民に影響力を与えた者は未だかつていない」と発言し、前オバマ大統領と比較されることを拒絶。また、もし民主党が下院議席を奪回して同大統領の税務申告の捜査などを追求したとしても、「うまく処理する」と述べた。

出典:「CNBC」
Says He's N Trump ot to Blame if Republicans lose the House in midterms

【RED:保守派】確率は低いことにおいて、トランプ大統領は正しい

Trump is correct. The odds are lousy

 アメリカの中間選挙の投票日が迫っている。2年前にドナルド・トランプが当選して以来、不誠実で気が狂った米左翼ニュース・メディアは、アメリカ人(もっと広義では世界)に、ただひとつのことを納得させるために、できる限りのことをして来た。米左翼メディアは本当に現大統領が嫌いで、読者の賛同を必死で願っている。そこで、騒々しいだけの愚かなTVニュースでは、共和党が国会議席の過半数を保持できなければ、それは大風呂敷を広げる現大統領の人格のせいだと主張している。

 しかし、本当にそうだろうか? それは何らかの明白な事実に基づく主張なのだろうか? 私も「事実」を愛する者のひとりだ。アメリカの政治に精通していない人のために情報を補足すると、たとえば日本の議会政治制度とアメリカのそれは少しシステムが異なる。米中間選挙についていうと、米下院では435全議席について2年ごとに選挙が行われる。従って2016年にはドナルド・トランプが現在の(共和党与党の)議会と共に選出されたが、2018年には大統領投票はない(大統領選挙は4年毎)。過去2年間における現職大統領の成功または失敗が中間選挙に影響を与えると主張する者もいるが、過去86年間の歴史的事実からすると実際はかなり異なる。

 1934年に開始された21回の米中間選挙のうち、1934年のフランクリン・D ・ルーズベルト大統領、1998年のビル・クリントン大統領、2002 年のジョージ・W・ブッシュ大統領を除くと、現職大統領は中間選挙で議席を減らしている。なかでも堅実さと優美さにおいて大統領の模範だと誇張されるバラク・オバマ氏は、2010年の中間選挙で61議席も失った。

 現実には、共和党が議席数を失う確率は85%以上だといわれる。しかし、それより大事なのは、トランプ大統領が(その確率にもかかわらず)議会の支配を保つことに成功するかどうかだ。トランプが米下院の支配力を保つことができれば、彼は過去80年において、最初の中間選挙で議会の支配を保った共和党大統領としてドワイト・アイゼンハワーとジョージ・W・ブッシュの2人に並ぶことになる。

【BLUE:リベラル派】トランプは自分さえ良ければ、誰が勝つかを気にかけてもいない

Trump Doesn't Care Who Wins, as Long as It's Him

 中間選挙における共和党候補者の応援演説でトランプは、「カリフォルニア州での暴動」(しかし暴動の事実はない)と、高級車を不法移民に与えるという「実在しない政策」について語り、その上、月末までに大規模な減税を行う計画(しかし計画はない)を発表した

 トランプにとって事実とは、「彼をよく見せる時」か「敵を悪く見せる時」にだけ重要なのだ。そして、これまでに数え切れないほど何度も見て来たように、トランプは自分の主張することを裏付けできる事実がない場合、都合の良いように話を作り上げてしまう。我々はすでに「大統領就任式の参加者数が史上最高だったという作り話」を聞かされている。写真で見れば、2009年のオバマ大統領の就任式参加者の方がはるかに大群衆なのは一目瞭然であるにもかかわらず、トランプは彼の就任式の参加者は「歴史上なかったほどの大聴衆だった」と今でも主張し続けている。

 一方で、トランプにとって格付けは非常に重要らしい。彼は上がった成績表をはしゃぎながら親に見せる子どものように、記者団の前で雇用率や株式市場の高騰、良好な世論調査などの数字を振り回して見せる。雇用や景気は、オバマ前大統領の元ですでに上昇傾向にあったものを引き継いだことなど知ったことではなく、トランプは全ての功績を自分のものにするのが得意だ。そして、世論調査でトランプの支持率が低いとなると、「フェイク・ニュース(嘘の報道)だ」と却下する。これはトランプが最も得意とするテクニックだろう。どんな事実であれ、それが彼にとって都合が悪ければ、すべて「フェイク・ニュース」と叫んで片付ける。それ故に、トランプ支持者がFoxニュースか、トランプのツイッターからの情報以外は何でもすべてがフェイク・ニュースだと決めつけるのだ。

 しかし、これはトランプの一連の発言について、興味深い問題を露呈させている。中間選挙が民主党に有利だという世論調査が出ているからだ。トランプ支持者は当然これをフェイク・ニュースだと即座に却下する。そしてトランプ自身は11月の世論調査は「赤いうねり(共和党優勢)」が起こると予測している。彼は今年、この「赤いうねり」と言う表現を少なくとも7回使っている。もし共和党の選挙民がいつものようにトランプの言葉を信じ、中間選挙は共和党が勝つのが確実だと信じているならば、中間選挙で投票をしないアメリカ人の60%に入るのだろうか? もしトランプ支持者が投票に行かず、家でFoxニュースを見ていたとしたら、それは彼らにとって「正しいのはトランプではなく、世論調査だった」という嬉しくない驚きとなることだろう。

 もし 11月6日に共和党が負けたとしてもトランプは何も失わない。彼はこれまで通り、自分の政権の失敗をすべて民主党に押し付けるだけだろう。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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