アメリカの有権者、中間選挙でトランプと共和党による一党政権を拒否

アメリカの有権者、中間選挙でトランプと共和党による一党政権を拒否

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。中間選挙では民主党が躍進して下院を奪回したが、上院が共和党支配のままでは民主党の出来ることは限られている。確実に一歩前進したリベラル派だが、その先に続く道は険しそうだ。


ブルーウェーブならず! トランプは勝利を主張

 アメリカの中間選挙が終わった。ほとんどの人が予測したように、共和党は上院の支配権を保持し、民主党は下院の支配権を得た。ドナルド・トランプはもちろん、「ほぼ完全な勝利」だと主張した。これは馬鹿げた発言だが、彼のこのコメントを聞いても驚きはしなかった。トランプの最大の強みは、事実を無視して臆面もなくついた嘘を本当のことだと支持者たちに信じ込ませる能力だからだ。

 この選挙では両党にとって、良いことと悪いことがあった。民主党は「過去2年間、共和党のトランプに好きなようにさせてしまった」ことに対する反応として、「ブルーウェーブ」(民主党旋風。青は民主党カラー)が全米を席巻することを望んでいた。しかし、旋風を巻き起こすことはできず、これには心底落胆させられた。全般的には共和党は2016年の大統領選挙でトランプが勝った場所で勝ち、民主党はヒラリー・クリントンが勝った場所で勝った。2年前の大統領選挙の時のように、アメリカの人々は共和党より民主党に数多く投票したが、今回も2年前の大統領選挙と同様、単純過半数は権力をつかむには十分ではなかった(編集部注:50州各州の意見が同等に扱われるようにするため、州選挙人や上院議員の定数は州の人口とは比例していない)。

民主党はアメリカ政府の健全性を回復できるか?

 下院を支配した民主党は、共和党が行ってきた国に対するダメージの修復をする機会を得られる。行政機関による議会の監視は、アメリカ政府の重要な部分である。私たちがこれまで見てきたように、監視がないと、“自身の満足以外の指導原則を持たない現大統領”は自分が法の上にいるかのように振る舞い、アメリカはまるで独裁政権のようになり始めている。そんな中で民主党が下院を支配することによって議会の監視が回復し、国は元の軌道に戻る方向へ進めるだろう。

 しかし、それは簡単ではない。大統領職には多くの権力と裁量がある。トランプはあたかも大統領ではなく、国王であるかのような立ち居振る舞いをし続けている。民主党の影響を受けることなく国王のように行動することを許可され続けた後では、彼は簡単にはその自由を手放さないだろう。彼は自分の権力を維持するために、あらゆる手段を使うはずだ。

これから先に続く、長く危険な道のり

 トランプの最大の才能は、人を欺く能力であり、彼の最大の資産は「恐怖と怒り」だ。彼は共和党員に投票させるために、アメリカの有権者に恐れと怒りを与えることに大成功した。選挙前に彼は、共和党候補のために選挙運動をしたが、その際、「自国の暴力から逃れて米国に亡命を求める貧しい南米移住者のキャラバン」のことを、「実際には常習犯の侵略軍で、民主党は彼らの入国を許し、彼らの好きなようにさせるつもりだ」という、とんでもない噓をついた。トランプの嘘はFOXニュースの宣伝組織と密接に結びついているため同ニュースを主に拡散され、多くの人々が彼を信じた。トランプの信者は、FOX以外のすべてのニュースは「フェイクニュース」だと信じる習慣が身についているため、なおさらだ。

 選挙直後、FOXニュースは、「民主党は統治するという目的はさておき、ドナルド・トランプを失脚させるために怒りと憎しみに満ちている」というメッセージを広め始めた。それに加えてトランプは、議会で民主党と協力して議題を通過させたいと願っているが、「もし民主党が合法的権力を下院で使い、ホワイトハウスを調査することにした場合、戦争行為のように反応するだろう」と発言した。

 これからアメリカが、どこに向かっていくのかを予測するのは難しいことではない。一部の共和党員が良心に苛まれて、自分の党や銀行口座のためでなく、国家のために最善を尽くすことを決断しない限り、トランプの追随者たちは嫌悪なメッセージを与え続け、それは暴力を誘発するだろう。残念ながら、共和党員たちの変化がすぐに起こると信じる理由は全くない。中間選挙は正しい方向へ一歩進んだが、長い道のりはまだまだ続く。私たちは、まだ危機から解放されていない。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

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