銃社会の現実 年間300件を超える銃乱射事件が起きるアメリカ

銃社会の現実 年間300件を超える銃乱射事件が起きるアメリカ

ある日、知らない誰かに突然銃で撃たれて死ぬ……。まるでハリウッド映画に出て来るような話だが、アメリカでは銃乱射事件が数日おきに起きている。今年も、ワシントン州立大学が毎年継続しているアメリカの銃暴力比較の調査結果が発表された。


銃で死亡したアメリカ人は今年だけでも1万2千人超え

 アメリカでは銃を使用した凶悪事件が絶えない。 Gun Violence Archive によると、今年に入ってから11月22日までの間で、アメリカでは銃乱射事件(mass shooting)はなんと317件も起きている。Gun Violence Archiveによると、「銃乱射事件(mass shooting)」とは、1箇所で同時刻に4人以上が撃たれた、もしくは殺された事件を指すという。

 この317件の中には、今もまだ記憶に鮮明なフロリダ州パークランドのダグラス高校で17人が射殺された事件や、今月ピッツバーグで起きたシナゴークで11人が亡くなった銃乱射事件、そのたった11日後に起きたカリフォルニアのクラブで楽しむ大学生12人が亡くなった銃乱射事件も含まれている。この3件以外にも、4人以上が同時に撃たれた事件が今年だけで314件もあったのだ。また、乱射事件以外で銃に関係して亡くなった人は1万2千人超え、怪我人は2万4千人を超えている。

 昨年の銃撃事件の数は346件だった。その中には、一晩で58人もの人が射殺されたラスベガスのコンサート会場襲撃事件も含まれている。

先進国の中で唯一、銃所有率が極めて高い国

 こうしたアメリカの社会状況を象徴するかのような恒例の調査がある。それは、ワシントン州立大学が行っている「アメリカの銃暴力の比較調査」だ。2017年のデータをみると、アメリカでは10万人に対して4.43人が銃暴力によって死亡していることが分かる。この数字はカナダの9倍(0.47)、デンマークの29倍(0.15)だ。ちなみに世界最低値の死亡率はシンガポールの0.02、続いて日本やオマーンの0.04だった。

 アジアの中で、銃暴力によって死亡する人が昨年最も多かったのはフィリピンの9.20で、アメリカの4.43の倍以上。南アフリカのレソトやカボベルデの方がアメリカよりもやや高く、ギャング抗争やドラッグ問題が沸騰しているエルサルバドルはなんと43.11、ベネズエラは42.15、ガテマラは29.61。アメリカへの移民を求めるキャラバン参加者にも多い国、ホンデュラスは24.66で、銃暴力率が非常に高いことがわかる。

 日本やイギリス、ドイツ、シンガポールなど、ほとんどの先進国では銃所有率および銃暴力事件の発生数が極めて低い。そのため有識者たちからは先進国でこれほど銃所有率が高いアメリカの状況を懸念する声が多く上がっている。

出典:NPR
Deaths Form Gun Violence: How The U.S. Compares With The Rest of the World

この記事の寄稿者

関連する投稿


こんなに違う! アメリカの「就活」常識

こんなに違う! アメリカの「就活」常識

ニューヨークにある名門コロンビア大学バーナードカレッジの学生、光田有希が、アメリカの大学生たちに人気のアプリやサービス、学生たちのトレンドなどの情報をお届け。今回は日本とは異なる、アメリカの「就活」の常識について。


アメリカ生活に欠かせない「持ち寄り&助け合い」最強アプリ

アメリカ生活に欠かせない「持ち寄り&助け合い」最強アプリ

アメリカでは、夏の行楽シーズンや、卒業・学年末などのシーズンになると「SignUpGenius(サインナップ・ジニアス)」というサイトを使ったEメールが頻繁に飛び交う。学校やサークル、ボランティア活動、様々な集会などに欠かせない便利なツールの具体的な使われ方とは?


学生たちを借金から解放させた米実業家に賞賛の声

学生たちを借金から解放させた米実業家に賞賛の声

大学の学費が高額なことで知られるアメリカ。親が裕福ではない限り、大抵の学生が卒業後に返済が始まる学生ローンを受けて進学するため、借金を抱えながら社会人になる。それでは若者たちが夢に向かいにくいと、ある実業家が大学を卒業する生徒、約400人分の学生ローン、総額約44億円を肩代わりすると発表。感動と賞賛の声がアメリカを駆け巡った。


知られざる米南部の高い“コンサバ度”

知られざる米南部の高い“コンサバ度”

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は沿岸部大都市に比べると驚くほど保守的な文化を誇る南部地域で、著者が経験したことを交えてそのコンサバ度合いを紹介する。


ストリーミング市場を制する米ネットフリックス、加入者数が歴代最大

ストリーミング市場を制する米ネットフリックス、加入者数が歴代最大

世界最大の動画ストリーミング配信企業、米ネットフリックスが、今年の第1四半期の業績を発表し、加入者数は前年同期比8%増で歴代最大の1億4,890万人だと明らかにした。アップルとディズニーの参入で競争が激化するストリーミング市場で今後の伸び悩みが懸念される同社だが、他社との差別化で躍進を続ける構えだ。






最新の投稿


【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はタイム誌の「共和党はアメリカを白人共和国にするためにトランプを支持し、アメリカを破壊しようとしている」という記事について。


世界初! サンフランシスコ空港「プラスチック製の水ボトル販売禁止」を決定

世界初! サンフランシスコ空港「プラスチック製の水ボトル販売禁止」を決定

米カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港が、8月20日から空港内における使い捨ての飲料水入りペットボトルの販売を禁止することを発表した。世界的にプラスチック製ゴミの問題が大きくなる中、それを減らすために市をあげて取り組む姿勢だ。


今年のプライムデーに最も売れた商品とは?

今年のプライムデーに最も売れた商品とは?

先月開催されたアマゾン・ドットコム社による恒例の大バーゲン、アマゾン・プライムデー。毎年、たった1日で爆発的に売れた商品がいくつか出現するので、話題になる。今年アメリカで飛び抜けて売れた商品を紹介しよう。


今週の神秘ナンバー占い(2019年8月16日〜22日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年8月16日〜22日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


アメリカで家を新築するのはなかなか大変

アメリカで家を新築するのはなかなか大変

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は長年住んだアーカンソー州から、同じく南部のケンタッキー州へ引っ越した話。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング