共和党の民意無視がアメリカを蝕む

共和党の民意無視がアメリカを蝕む

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、先の中間選挙で共和党州から民主党州に変わった州の現知事が、退任前に新しく就任する知事の権力を制限する法律を制定しようとする動きについて、著者の憤慨をまとめた。


アメリカにおける権力の移行は常に平穏で秩序あるもの

 世界史を振り返ると、人々は国民を顧みない王と暴君によって支配されてきたことが多い。権力を得た者は、その力に執着し、その権力を放棄させるために、しばしば血まみれの戦争が起こったのは、周知の事実だろう。

 しかし、アメリカはそうした歴史は踏襲してこなかったと言える。アメリカの政府システムで特に優れていることのひとつは、平穏で秩序ある権力の移行だ。

 アメリカは「自分たちのリーダーは国民が選ぶ権限を持つべきだ」という考えに基づいて成り立っている。従ってアメリカでは有権者が新しい指導者を選出すると、たとえ政治的見解が自分とは大きく異なる人物に権力を移譲する場合でも、そのときの指導者は任期終了と共に権力を新たな指導者に平和的に引き渡す。

 オバマ大統領がドナルド・トランプに権力を譲渡したときも、それは平和的に行われた。オバマ氏は、トランプのような自制心と知性のない人間にこの国の最高職責を務めさせるのは危険なことだと確実にわかっていただろう。しかし、アメリカ人は大統領にトランプを選んだ。アメリカ政府は、新しい挑戦に向かうために信頼されねばならないのだ。

 先月の米中間選挙後、権力移行の準備がワシントンDCで始まった。今年は大統領選挙年ではないので行政機関に権力の移行はなく、上院は共和党が過半数を維持したため、リーダーシップは変わらない。しかし、下院では民主党が過半数を獲得し、1月3日に開催される新議会からは共和党から民主党にリーダーが替わる。たとえ民主党が国民の意思を代弁するために、そのリーダーシップを使う計画を立てていたとしても、この移行は秩序あるものになるだろう。

有権者たちの意思を無視する共和党

 州レベルでは、事情は少し異なる。アメリカ50州には各々に連邦政府のような構造の政府がある。各州には執行役として知事がおり、ひとつの州を除いて全州に連邦レベルの上院と下院に似た2つの立法機関がある(ネブラスカ州だけは単一の立法機関)。そして、多くの州では知事と議会政府全体が一党によって管理されている。それは多くの有権者が全てのポジションにおいて、どちらか一党に投票するからだ。ちなみに、これが「赤い州」と「青い州」という語源の由来でもある(赤は共和党、青は民主党)。

 今回特筆したいのは、ウィスコンシン州とミシガン州だ。過去8年間、これらは共和党が州政府全体を支配する「赤い州」だった。しかし、先月の中間選挙では、この2州の有権者は民主党の知事を選んだ。その両州でここ数週間、議会では次期の民主党知事の権力を厳しく制限する法律を制定するための動きが活発になっている。現在の共和党知事が退任する前に、新しい法律に署名するためだ。

 例えばウィスコンシン州では今月頭に、民主党の新知事が就任以降、知事の権限のいくつかを廃止、民主党が反対していた州における早期選挙投票を2週間以内に制限することなどが可決された。これは、有権者の意思を無視し、権力を保持しようとする恥知らずの試みであり、平穏で秩序ある権力移行というアメリカの理想への攻撃である。

 こうした行動は、共和党がアメリカ民主主義と大多数原理の敵であり、アメリカ残存にとって最大の脅威であるのは誰の目にも既に明らかだ。アメリカの民主主義は守られなければならない。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

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