ダサいほど人気者に? アグリーセーターを着てパーティーへ

ダサいほど人気者に? アグリーセーターを着てパーティーへ

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。12月のアメリカでは、クリスマスやホリデーを祝うパーティーが多いが、なかには「ちょっと変わったドレスコード」を指定されることもある。


クリスマス・マジックに包まれる米南部

 アメリカ南部では、12月に入ると街中がクリスマス・ムードで沸き上がり、「メリークリスマス!」と声を掛けられることが増える。どこかみんなワクワクしていて、クリスチャンではなくても、その華やかな光景と人々の笑顔に触れて心が温まり、自分もワクワクしてくる……いわばクリスマス・マジックにハマるのだ。

 12月の街での挨拶については拙記事で述べたので今回は割愛するが、敬虔なクリスチャンにとってクリスマス、つまりイエス・キリストが降誕した12月25日は1年の中で何よりも大切な日だ。

 そんなクリスマス・イヴやクリスマス当日は、家族・親族が集まって共にイエス・キリストの降誕を喜び、祝う。南部では当日は教会へ行き、プレゼントの交換や特別に用意した料理を囲みながら、皆でその日を迎えることができたことを感謝する。

 クリスマス当日は家族で集まるのが一般的なので、それ以前の12月中には社内や友人たちで集まるホリデー・パーティーが頻繁に開催される。目的別のパーティー毎にセミフォーマル、カジュアルなど「ドレスコード」が異なるが、毎年最低でも一度は指定されるドレスコードに、「アグリーセーター」がある。

やるなら、とことんやった者の勝ち

 「アグリーセーター」とは、クリスマスや冬のホリデーシーズンをテーマにした柄を編み込んだ派手なセーターのことだ。昔はクリスマスのプレゼントにするために手編みしたカラフルなセーターだったが、今ではアグリーな(ダサい)ものと認識されている。しかし、そのダサいセーターが「あまりにもダサ過ぎて可愛い」と再び日の目を見て、カジュアルなクリスマス・パーティーで指定されるドレスコードの定番のひとつになっているのである。

 わざわざ口外しなくても、家の中でそういったクリスマス柄の部屋着やパジャマを着ている人は意外と多く、大手衣料品スーパーなどでも毎年お決まりのように販売されている。パーティーの場合は、ここぞとばかりに注目を集めるべく、よりダサいセーターを着て行くのが「良し」とされる。なかにはクリスマス・ツリーのように点滅する電飾付きのセーターもあり、目立ちたい人に特に人気が高い。

 そのダサ可愛さを褒め合い、みんなで笑う。ダサさの順位を決めることもある。しかし、いかに注目を集めるかが鍵でも、注意するべき点は「下品」にならないことだ。ダサくても派手であっても、品性は保たねばならないという点が、クリスチャンの間の暗黙のルール。クリスマス・パーティーの主役は心から敬われている人(キリスト)であることを、南部では決して忘れてはならないのである。きっとここがアメリカと日本のクリスマスの祝い方が大きく異なる理由だろう。

 もちろん私も、ダサ可愛いアグリーセーターを所有している。「なぜ、こんなものを着なければいけないのか」と呆れるほどダサいが、12月の大切なアイテムのひとつになっている。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

関連する投稿


「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などを、ジョーンズ千穂がアーカンソー州より徹底紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。日本とは異なり、多人種から構成されるアメリカでは、12月の挨拶も一筋縄ではいかない……。


【Red vs. Blue】アメリカから見る「日本の少子化危機と日常生活への影響」

【Red vs. Blue】アメリカから見る「日本の少子化危機と日常生活への影響」

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は米ビジネス・インサイダーの記事、「日本の少子化の危機」を読んで保守派とリベラル派がどう感じたかを問うた。


銃を規制しても問題は解決しない

銃を規制しても問題は解決しない

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などを、ジョーンズ千穂がアーカンソー州より徹底紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は アメリカの世論を二分する銃規制問題に対して、銃を所持している一般人のひとりとしての意見を述べる。


中間選挙に向けて始動するアメリカ

中間選挙に向けて始動するアメリカ

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いトランプ大統領率いる政権も2年目に入り、今年は中間選挙がある。保守から勝利を奪還したいリベラル派市民たちが開く集会の数も増えてきているが、そんな集会でリベラルたちは何を語っているのだろうか?


【Red vs. Blue】トランプ支持者が「大統領は腐敗していない」と信じるのはなぜか?

【Red vs. Blue】トランプ支持者が「大統領は腐敗していない」と信じるのはなぜか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はトランプ大統領の元顧問弁護士が「大統領が不倫相手に口止め料を支払った」と認めたことを巡って激論を交わす。






アクセスランキング


>>総合人気ランキング