【Red vs. Blue】外国人の受け入れ対応に変化を迫られる日本

【Red vs. Blue】外国人の受け入れ対応に変化を迫られる日本

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は外国人労働者の受け入れ拡大に繋がる改正出入国管理法が成立した日本について、アメリカ人両派の意見を聞いた。


 深刻な人口減少に伴い労働力不足に直面する日本では12月8日、外国人労働者受け入れを拡大するための改正出入国管理法が成立し、2019年4月から施行されることになった。この日本政府の動きに対して米『ブルームバーグ』紙は社説で、「このまま少子化が進むと2065年には人口が現在の2/3に縮小し、75歳以上の高齢者が1/4を占めることになると予想される日本の現実を考えれば、必然的な政策だ」と支持。しかし一方で、外国人の受け入れに閉鎖的な日本の文化・社会背景に言及し、日本政府はこれらの問題にもっと真剣に取り組んだうえで、移民の受け入れ態勢を整えるべきだと苦言を呈した。アメリカとは種類の異なる移民問題に直面する日本の状況を、一般的なアメリカの保守派とリベラル派はどう受け止めたのか。

出典:『Bloomberg Opinion』
Japan Needs to Change its Attitude to Foreigners
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2018-12-04/japan-immigration-bill-a-first-step-to-curb-labor-shortage

【RED:保守派】 ブルームバーグ社説の移民問題は無価値だ

Bloomberg Editorial Opinions are worthless when it comes to Immigration.

 2065年までに日本の現在の人口1億2,600万人がほぼ1/3減ってしまうこと(同記事によると)は事実かもしれないが、その事実のみで98.5%が同一民族である日本に大量の移民が必要だという正当な理由にはならない。『ブルームバーグ』紙の編集者は、移民問題に関しては恐ろしく間違っている。2018 年10月30 日付けの同社説「移民は財政的に見れば安い買い物だ(Immigrants Are a Bargain, Fiscally Speaking)」は恐ろしく偏った(移民に好意的な)意見で、聞き飽きたアンチ・トランプ報道と似た類の決めつけゆえ、私にはこのメディアの意見を真剣に受け止めるのは難しい。

 家族の受け入れと特定職種との組み合わせがいいのか、あるいは別案がいいのか、私には何が日本にとって適切な解決策かは定かではない。しかし、きちんと調べられていない不法移民がアメリカに害をもたらした事実には言及できる。いくつかの点を考慮してみよう。一般的に、技能のある移民は総労働力に人的資本を提供し、その結果(真の労働力不足がある限りは)、国家経済のビジネス状態を改善する。しかし移民はコスト的にかみ合わない。移民研究センター(Center for Immigration Studies)の報告によると、米政府のプログラムやサービスに携わる移民一人当たりに約$1,600の費用が掛かることがわかった。現状約3,300万人の不法移民がいるというアメリカの場合、それは毎年ざっと$52億の赤字を意味する。この問題を悪化させるのが、連邦刑務所の受刑者の33%が移民であるという事実であり、大量の移民は(いかなる種類の移民であっても)、平和を愛する国にとって必ずしも望ましいものではないということだ。日本の国会が最終的にどのような移民政策を選ぶにせよ、ブルームバーグ紙の誤った意見に則ったものでないことを心から願う。

【Blue:リベラル派】 外国人労働者を受け入れても日本は日本であり続けることができる

Japan Can Allow Foreign Workers and Still Remain Japan

 外国人観光客が日本に到着した時に最初に気づくことのひとつは、社会がいかにスムーズに機能しているかということだ。日本では誰もが自分が何を期待されているかを知っているかのように皆、礼儀正しく、世界の多くの大都市で見られるような攻撃性が感じられない。そう見えるのは、日本のすべての人々が日本社会のルールを知っているからだろう。

 外国人旅行者の多くが、日本で初めて街の小さなバーやレストランを訪れた時に、日本社会のルールのようなものを目の当たりにする。まるで映画のワンシーンのように、見知らぬ外国人が店に入ると、地元客たちが一斉に振り返って凝視し、店内の会話がピタリと止まる。または、店主が大急ぎで入口に駆け寄り、死に物狂いで外国人に店に入らないように懇願する。常連客の隣席に座った外国人の行儀が悪ければ常連たちは楽しめないし、その外国人の行儀が悪いかどうかは一見してはわからない。「振る舞い方を知らないかもしれない人が来店してしまった、困った」という日本人の苦悩は当然かもしれない。日本のような単一民族国家において、その複雑な文化がどのように機能しているか、外国人が理解できるなどと誰が期待するだろうか。

 日本は外国人労働者を歓迎し、彼らから学び、彼らが仕事をするために必要な基礎言語能力だけでなく、日本の社会について彼らに教えることができるという大きな機会に直面している。たとえば、外国人が日本人の連れなしで入ることができる飲食店を見つけるのがなぜ難しいのかを外国人に教えるべきだろう。外国人を恐れるのではなく、日本の社会の仕組みをきちんと教えることが、素晴らしい日本の歴史の新しい一コマに外国人労働者を加えることに繋がるだろう。

 新政策によって受け入れられる労働者の数は、爆買いに東京を訪れる外国人客数の1週間分にも満たず、これらの労働者たちは日本に興味があって日本を選択するのだから、日本を誇りに思い、守りたいと感じるに違いない。しかしそれは、日本が日本人に対するのと同様に外国人労働者を大切にした上でのことだ。外国人労働者を使い捨ての箸のように扱うことは、日本のグローバル・ブランドを低下させるだけであり、ドイツやカナダ、あるいはトランプのアメリカでさえ仕事を見つけることができる条件を揃えた労働者たちにとって、日本の職場は魅力的には映らないだろう。移民たちが日本を誇りに思うような受け皿を用意した上での受け入れが必要だ。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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