テキサス州で「6才の男の子の性転換」が裁判に?!

テキサス州で「6才の男の子の性転換」が裁判に?!

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。新年の初回はテキサスで行われている裁判、「6才男児はトランスジェンダーなのか、否か」が全米の注目を集めていることについて紹介しよう。


6歳児が性転換手術を受けるのは、どうなのか

 テキサスではここ数ヶ月、トランスジェンダーだと思われている6才の男の子、ジェームス・ヤンガー君が性転換手術の下準備としての化学的去勢措置を受けるべきかどうかが大きな話題になっている。

 ジェームス君は双子の兄弟ジュード君と、離婚した両親の間を行き来しながら暮らしている。ジェームス君が3歳の時、小児科医の母親が「この子はトランスジェンダーだ」と「判定」し、ルナという名前で呼んで女の子の服を着せ、幼稚園や小学校にも、女の子として登録した。しかし、ジェームス君は父親と一緒にいるときは女の子の服を着ることを拒み、ルナと呼ばれることも嫌がり、普通の男の子として振る舞っている。ジェームス君の友人の親たちも、「父親と一緒にいるときのジェームス君の立ち居振る舞いを見ている限り、彼がトランスジェンダーだとは全く想像つかない」と証言している。

 それでも、ジェームス君の母親は彼をトランスジェンダー専門セラピーに通わせ、彼に性欲抑制剤を使った化学的去勢措置を受けさせようとしている。母親側についている専門家たちは皆、「心の性と身体の性が一致しないことは精神衛生上良くないため、性転換のプロセスはできる限り早くしたほうが本人のため」だと言っている。

もし彼がトランスジェンダーではなかったら?

 一方、父親側についている精神科医は、「ジェームス君は、自分のことをトランスジェンダーだと思い込んでいる母親を喜ばせるためにトランスジェンダーの振りをしているだけかもしれない。本人の意志で性転換手術を希望できる年頃になるまで、薬物使用は待つべきだ」と話している。

 父親が起こした裁判では、母親側の見解が認められた。しかし、父親側は上訴する構えで、その意思を支援するべくテキサス州内の多くの教会でも父親側を援助するための募金が行われている。テキサス在住者の約半数はプロテスタント、2割強はカトリックで、彼らのほとんどが「神は過ちを犯さない=心の性と身体の性が一致しない人間を神が創造することはない」と思っているからだ。

 そして、テキサス人の多くが、保守派の判事が多いテキサス最高裁、さらにアメリカで最も保守的な第5控訴裁判所(管轄州はルイジアナ、ミシシッピー、テキサス)が、一審の判決を覆してくれるはずだと信じている。

 これはまさに「テキサスならでは」の裁判だ。リベラル派が圧倒的に多いカリフォルニア州やニューヨーク州では、子供の性転換手術に反対する人々の意見が地方・最高・控訴裁判所で聞き入れられるはずがないことが分かり切っているため、どの弁護士も勝算のないケースには手をつけたがらない。従って、このような裁判はリベラルな州では起こりえないのだ。

 テキサスにも、トランスジェンダーの権利を認めるべきだと思っている中道派は少なくないが、彼らの多くも「化学的去勢を小学校の低学年から始めるのは、あまりにも早すぎるのでは?」と思っているようだ。トランスジェンダー関連の裁判は前例が非常に少ないため、テキサス最高裁がどんな判例を出すか目が離せない。

ジェームス君の父親派の人々が立ち上げたサイト
http://savejames.com/

ダラス地方裁判所に提出された書類
http://savejames.com/wp-content/uploads/2018/09/Younger-VS-Georgulas.pdf

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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