アメリカの本当の顔とは?

アメリカの本当の顔とは?

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、時代の変化に柔軟性のない共和党(保守)に対して、民主党(リベラル)がいかにそうした変化を受け入れて柔軟であるかを軸に、アメリカのあるべき今後の姿について語る。


一貫しないメッセージ

 ニューヨークのリバティ島に立つ「自由の女神像」は、その昔、米合衆国移民局が置かれていたエリス島至近にある。その手に掲げられた松明(たいまつ)は、誰にでもチャンスがある国にたどり着いたことを移民たちに示す象徴として高く掲げられ、女神の台座には次の言葉が刻まれている。

 私は疲れ果て、貧しさにあえぎ、自由の息吹を求める群衆を受け入れる
 他国の岸辺でみじめに拒まれ続ける多くの人々
 彼らを私のもとに送りたまえ。嵐の中、身の置き場もない彼らを
 希望の灯を掲げて迎えよう、自由の国はここなのだと

 現在のアメリカは、この言葉とは全く異なるメッセージを世界に送っているようなものだ。ドナルド・トランプは移民をアメリカの敵として描くことによって、彼の支持者を狂乱ともいえる興奮状態に陥れているからだ。トランプは移民を締め出すために、南の国境線に沿って2,000マイルもの壁を建設しようとしている。亡命を求めて国境に到着した貧困層や迫害された移民の多くは、自分の子供と離されて檻のような囲いのある収容所に入れられている。これは移民を望む人たちにアメリカに来ることを断念させるために、トランプ政権が使っている戦術だ。

人民の、人民による、人民のための政治

 1月3日に第116回連邦議会が開かれた。新しい議員の顔ぶれは、これまで議会に選出された中で最も多様だ。その内訳を見てみよう。

 米連邦議会に加わった新議員は111人。そのうちの67人が民主党員、44人が共和党員だ。新議員の42人が女性で、これまでで最多の女性議員数となった。その女性議員たちの38人が民主党員、4人が共和党員だ。新議員の24人は白人以外の人種であり、23人は民主党員、残りの1人は共和党員である。また、今回初めてソマリア系アメリカ人、パレスチナ系アメリカ人、先住アメリカ人が議員に選出された。その3人全員が女性で、民主党員だ。

 民主党と共和党の違いは明白である。民主党員は男性と女性、そして多様な民族や背景の組み合わせからなるが、共和党員は37人の白人男性、4人の白人女性、そして1人のラテン系男性という構成だ。

民主党もしくは共和党は、本当のアメリカを代表しているのか?

 アメリカは常に「素晴らしい人種のるつぼ」を目指してきたが、歴史上、経済的にも文化的にも白人男性によって支配されてきたと言える。しかし、アメリカは人口的にみると、ますます多様化していることは明らかである。民主党員の議員たちも、共和党員の議員たちも、どちらもアメリカを代表している。民主党は多様性への変化を受け入れているが(進歩的)、共和党はこの変化に対し抵抗を続け、まるで後ろ向きに見ているかのようだ(保守的)。

 誇り高く自由主義的で進歩的な民主党員のひとりとして、私はより包括的な変化を受け入れている。また、白人のひとりとして、同志であるアメリカ人の多くがなぜその変化に抵抗するのかもわかる。同一性には強さがあり、整然性には安心感があるからだ。変化は確かに不確実性をもたらす可能性があり、恐怖を感じることもある。政治家は人々のこうした心理を熟知している。人々のその恐怖心を上手に利用し、自分たちとは異なる人々を怖がるのは正しいと言うことによって、票を獲得できることを知っているのだ。

 しかし、私たちは変化が恐怖に屈しないことも知っている。この世にはそもそも変化しないものなどないのだ。我々がどれほど頑張っても時間の進行を止めることはできないし、人々の顔は年齢とともに変化する。若々しい滑らかさは美しいかもしれないが、何年もの間に作られた笑顔や心配から刻まれる深いシワやざらつきも含め、必要な変化なのだ。私たちが一生をかけて経験したことを、その顔に表し続けているのと同じように、アメリカもまた変化の受け入れには柔軟でなければならないはずだ。それが例え今までに経験したことのないような変化でも。それこそがアメリカが国として作っていくべき顔であり、人類の顔なのである。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

関連する投稿


【Red vs. Blue】投資家に5兆ドル超の損失をもたらしたトランプ大統領のツイッター

【Red vs. Blue】投資家に5兆ドル超の損失をもたらしたトランプ大統領のツイッター

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は『フォーブス』誌による、トランプ大統領のツィッターのつぶやきが投資家心理を悪化させて株価が急反落し、投資家たちは約5兆ドルも失ったという記事について。


MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏が辞任! 米富豪との関係が明るみに

MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏が辞任! 米富豪との関係が明るみに

米マサチューセッツ工科大学(MIT)傘下の名門研究所MITメディアラボの所長を務めていた伊藤穣一氏が、少女への性的虐待疑惑で起訴された刑務所で自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏との関係を表す証拠メールが公表された直後、メディアラボ所長を辞任した。


火蓋を切った米大統領選挙、リベラルと保守は共存できるか

火蓋を切った米大統領選挙、リベラルと保守は共存できるか

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。引っ越しが決まった。首都D.C.のすぐ横、バージニア州だ。先日、家探しで久しぶりに東海岸に戻って感じたアメリカの希望とは。


トランプ大統領の「グリーンランド購入」提案に米保守派が驚かない訳

トランプ大統領の「グリーンランド購入」提案に米保守派が驚かない訳

メキシコ国境と隣接する米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、多くの人たちが突拍子もない話だと驚いたトランプ大統領のグリーンランド購入提案に対して、米保守派はまったく驚いていないということについて。


二極化するアメリカを操るのは富者

二極化するアメリカを操るのは富者

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回はここまで分断が進んでしまったアメリカを操るのは誰なのか、リベラルな著者の見解を披露する。






最新の投稿


今週の神秘ナンバー占い(2019年9月13日〜19日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年9月13日〜19日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


【Red vs. Blue】投資家に5兆ドル超の損失をもたらしたトランプ大統領のツイッター

【Red vs. Blue】投資家に5兆ドル超の損失をもたらしたトランプ大統領のツイッター

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は『フォーブス』誌による、トランプ大統領のツィッターのつぶやきが投資家心理を悪化させて株価が急反落し、投資家たちは約5兆ドルも失ったという記事について。


猫好き悶絶! キュートなバスボムの中身は?

猫好き悶絶! キュートなバスボムの中身は?

暑くても寒くても、季節には関係なくアメリカで人気を博している入浴剤があるという。ソーシャルメディアの話題をさらっている入浴剤とは?


それ、ほんと? アメリカ人の約半数が下着を毎日は取り替えない?

それ、ほんと? アメリカ人の約半数が下着を毎日は取り替えない?

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は先日、米有名紙が掲載した下着に関するアンケート記事を読んで驚愕したというお話。


フェイスブック、アメリカで「デート・アプリ」開始

フェイスブック、アメリカで「デート・アプリ」開始

昨年から19カ国で展開されているフェイスブック社のデート・アプリ、「フェイスブック・デーティング」のサービスがアメリカでも5日(日本時間6日)から開始された。個人情報の流出事故が続く同社によるデート・アプリだけに、「セキュリティーは大丈夫なのか?」という声が飛び交っている。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング