インディアナ州では1ドルで家が買える?

インディアナ州では1ドルで家が買える?

若者たちが都会に職を求め、高齢化が進んだ日本の過疎地では、廃墟と化した家がタダ同然で売られているが、アメリカにも似たようなケースがある。インディアナ州ゲイリー市が「都市の再生」を掲げて打ち出した秘策は、「1ドル住宅プログラム」。あなたはこれらの家を買いたいと思うだろうか?


販売価格は1ドル、ただし取得は条件つき

 人口流出が止まらない過疎地などで、住む人がいなくなった家の老朽化が進んでしまうのは、万国共通。アメリカでも数年前からインディアナ州ゲイリー市が「1ドル住宅プロジェクト」を実施している。今年も11軒の1ドル住宅を用意して、その購入者を募ったところ応募者が殺到。これから7ケ月をかけて申込者を審査するそうだ。

 販売される家の所有権は、現状、同市が所有している。家はすべて大規模な修繕が必要で、市の安全基準などを満たしていないものも多い。一軒の販売価格は1ドルだが、申し込むためには日本円で約380万円の年収があることや、180日以内に家の外部分についての市の安全基準を満たすように修繕すること、1年以内に内装を人が住める状態に修繕すること、そして5年間はその家に住み続けることを了解しなければいけない。家の権利が購入者に完全譲渡されるのは入居から5年後だ。同プラグラムの詳細は同市ホームページに記載されている。

1ドルで家が買える夢、そして厳しい現実

 ゲイリー市は鉄鋼業で栄えた土地だったが、1960年を境に鉄鋼業が衰退。それと共に人口が減少し、現在、市の人口は最盛期の半分以下だ。主を失った家はそのまま放置されてしまうことも多く、現在、市内の3分の1は空き家だという。

 衰弱化する経済活動と比例するように、同市では犯罪率も増加した。たとえば破壊行為や放火などが繰り返された学校は使いものにならなくなり、販売に出されているような状況だ。学校を維持するためにかかった1億ドルもの累積債務を返済するには、新たな買い手を探すしか方法はないという。

 1ドルで家を購入し、修繕をして住めるようにしても、ゲイリー市自体が住む土地として相応しいか否かは別問題ということになる。また1ドルで売られる家の老朽化はかなり深刻で、最低でも2万〜3万ドルの修繕費を見積もらねばならない現状のようだ。1ドルで購入可能なマイホームの現実は甘くなさそうだ。

 しかし、ミシガン州デトロイト市のように、自動車産業衰退後、一時はギャングによる犯罪が横行し、2013年には財政破綻宣言までしたが、「アート」で再生をはかりつつあるポジティブな例もあるため、ゲイリー市は「1ドル住宅プログラム」が、新しい街づくりのための大きなきっかけになることを期待しているそうだ。新しい人たちによって作られる新しい空気によって、街に再び命が注がれる――ゲイリー市の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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