スタバ元CEO、米大統領選へ出馬を検討中

スタバ元CEO、米大統領選へ出馬を検討中

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、リベラル派で知られるスターバックス社の元CEO、ハワード・シュルツ氏が、来年の米大統領選に出馬を検討中であるとインタビューで話したことについて。


優秀な実業家ならば米大統領に相応しいか?

 先日、スターバックス社の元CEO、ハワード・シュルツがインタビューで、2020年の米大統領選への出馬を検討していると話した。スターバックス社の成長の歴史やシュルツの実業家としての成功を知っている人は多いかも知れない。

 シュルツは自力で成功を収めた。子供の頃は公営住宅に住み、ミシガン州の小さな大学にアメリカン・フットボールの奨学金を受けて入学。卒業後はコーヒーメーカーを販売する仕事を経て、当時はまだ6店舗しかなかったスターバックス社に入社した。そして借金をしてスターバックスを買収し、世界76カ国に27,000以上の拠点を持つ世界的な大企業に成長させた。一方、トランプは裕福な家庭に生まれ、父親の金で事業を始め、いくつかの事業を破産に追いやり、何度も金融破綻に直面したが、常にあらゆる手段を使ってトラブルから逃れてきた。トランプとは比較にならないほど、シュルツは大成功した実業家だと言えるだろう。

 しかし、ビジネスと政治は異なるものだ。企業の目標は利益を上げることだが、政府は経済の安定と成長を確実にし、市民にサービスを提供するために存在する。ビジネスの成功が、必ずしも政府の成功につながるわけではない。裕福だという理由で大統領になる資格があると見なすとか、あるいは大統領の候補になるには富が必要だというのは、アメリカの価値観に反する。

二大政党制のアメリカにおいて無所属で出馬すると何が起きるか

 アメリカは二大政党制だ。実際には民主党と共和党以外にも政党はあるが、1852年以来、この2政党が全ての大統領選挙に勝っている。シュルツは民主党員だ。しかし彼は、今は両党ともにアメリカの人々に対する義務を怠っていると考えており、もし大統領に立候補するならば、民主党員としてではなく、無所属として出馬するだろうと言っている。が、それは問題だ。

 一般的に、第三政党から大統領選に出馬する候補者は、当選に十分な票を得ることができない。その候補者に近い考え方をする候補者(リベラル寄りの候補者なら民主党候補者)の票を奪い合ってしまうため、結果としてその候補者と異なる意見を持つ者が勝つ可能性が高くなる。つまり、シュルツが無所属で立候補すれば、民主党への票が割れて、トランプの勝利を確実にしてしまうわけだ。トランプもこれをわかっているので、シュルツの出馬発言に対してツイッターで「シュルツは大統領に立候補する根性がない」と挑発したのである。

アメリカにとってベストなのは何か?

 私はアメリカが二大政党制から、より包括的な制度へ移行する必要があると思っている。確立された規範に挑戦するためには、より多くの人々とアイデアが必要だからだ。2016年の選挙では、トランプが(当時は)政治家ではなかったという理由だけで多くの人々が彼に投票した。もし当時、シュルツが出馬していれば、多くが彼を選んだことだろう。来年、トランプは現職の共和党の大統領として再び選挙に挑む。シュルツが本当にアメリカ人のために正しいことをしたいのなら、彼は自我を無視して、トランプが確実に敗北するために動くべきだ。二期目のトランプ政権を迎えるのは危険すぎる。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

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