アメリカ南部における恋人の見つけ方

アメリカ南部における恋人の見つけ方

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は、都会と地方では結婚年齢の平均値に差があるアメリカで、南部地域住民は結婚時の平均年齢が比較的若いと言われる所以について。


なぜ南部では若いうちに結婚を決める人が多いのか?

 結婚する平均年齢がアメリカの他地域よりも比較的若いと言われる南部の人たちは、どこでお相手を探すのだろうか?

 アメリカにはクリスチャン(キリスト教徒)が多いが、特に南部や深南部地域には敬虔なクリスチャンが多い。彼らは、子供の頃から日曜日には午前と午後の1日2度、教会の礼拝へ行く。教会によって多少異なるものの、通常は日曜と水曜の週2回、教会ごとに「聖書の勉強会」がある。勉強会は年齢が近いグループ(たとえば幼児・ティーン・成人など)が集まって行われることが多く、教会を通しての野外活動や布教活動なども年齢が近いグループごとが多い。

 それだけ頻繁に集まっていると、特に多感なティーンたちには、教会の活動を通して誰かと恋に落ちる可能性が高い。敬虔なクリスチャンは結婚するまで性交渉は許されないので、結婚式の前日もそれぞれの家か別の部屋で過ごすほどだが(南部で暮らし始めた頃は、そのことを知って驚いた)、その教えを忠実に守れずに妊娠した場合は、その二人は結婚することになる。なぜなら、キリスト教では中絶は殺人と同じだと判断されるからだ。結婚年齢が若いカップルは、少なからずこのパターンであることが多い。

 ティーンを卒業し20代に入っても、教会を通じてのソーシャル・イベントは数が多いため、若者たちはそこで知り合ったのがきっかけで結婚することも多い。また、意外とたくさんあるクリスチャン専用のオンライン出会い系サイトで知り合って結婚したというケースもよく耳にする。

重要なのは価値観が同じであること

 なぜ、クリスチャンは結婚相手にクリスチャンを探すのか。それは、お互いの思想が聖書に基づいていれば、もし結婚生活で何か困難に突き当たっても、教えに基づいてお互いにそれを乗り越える努力が出来ると考える人が多いからだ。もしくは自分たちが通う教会の神父や牧師が間に入って結婚カウンセリングなどをして、問題の解決に向かえることなども理由のようだ。

 アメリカのスーパーマーケットや図書館の入口には、よく「ベビーシッターをします」、「〇〇を教えます」などの求人広告が貼られているが、南部ではその自己紹介の文言にも「私はクリスチャンです」という記述がよく見られる。渡米直後は、なぜそんなことを書く必要があるのかと不思議に思ったが、「クリスチャンならば安心してお願いできる」という信頼を抱く人が多いからだそうだ。南部に長く住むうちに、私もなんとなくそのあたりが理解できるようになってきた。

 南部に住み始めた頃は、食事の前にする「お祈り」も難しかった。お祈りと言っても、それほど堅苦しくなく、日本で神社に行って神様にお願いごとや感謝をするのと同じような感じではある。しかし、食卓に家族全員が揃うと家長が祈りを捧げ、祈り終わってから食べ始めることが毎日繰り返される習慣に馴染むまでには時間がかかった。

 夕食に招待されたときなど、たまに「あなたがお祈りを捧げてくれませんか?」と言われることがある。最初は何を言えば良いかが分からずタジタジしたが、今はそれを頼まれるときは、神社に行った時のことを思い出してお祈りを捧げている。祈りが終わらないと食事に手をつけられないので、最もタブーなのは、食事の前のお祈りの言葉が長いことだ(笑)。そんなことが言えるようになった私は、もう南部人なのだろうか。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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