大都市に住むアメリカ人たちが知らないテキサス人の真の姿

大都市に住むアメリカ人たちが知らないテキサス人の真の姿

米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、保守派が多く住むと言われるテキサス州で、人々はどのように軍人を見ているのかがわかるニュースにまつわる話。


テキサスに住んでいて良かった!と思える瞬間

 アメリカの大手メディアの報道を鵜呑みにすると、「テキサス人とは、銃を振り回す軍国主義の人種差別者たち」だと思ってしまうかも知れないが、真のテキサス人は愛国心と隣人愛に満ちた温情深い人々だ。

 先月 26日、独り暮らしの黒人の元米空軍兵、ジョセフ・ウォーカーさんという方が亡くなった。埋葬先であるテキサス復員軍人墓地に勤務する職員が、ウォーカーさんに身寄りがないことを知り、「参列者のいない葬儀は寂しすぎる」と心を痛めて、フェイスブックでテキサス全土の人々にウオーカーさんの葬儀への参列を呼びかけた。その書き込みをテキサス州選出のクルーズ上院議員がツイートし、州内の多くの教会でも話題になったため、ウォーカー氏の葬儀は何百人もの兵士が列席する公式な軍葬となり、さらにテキサス全土から何千人もの参列者が押し寄せて、故人に敬意を表したのである。

隣人愛と愛国心に満ちたテキサス人たち

  28か所に軍の基地があるテキサス州に在住する軍人(予備兵も含む)の数は16万4,234人米軍兵士の9.9%がテキサス出身で、この数はカリフォルニア州(軍人数18万4,540人、州別比率11.6%)に次いで第2位だ。ウェストポイントの陸軍士官学校の生徒数も、テキサス出身者がカリフォルニア出身者と同じく9.6%を占めている。州の人口が、カリフォルニア州は約4,000万人、テキサス州は約2,870万人であることを考慮すると、テキサス州住民の米軍への貢献度がいかに高いかが分かるだろう。

 また、ブルーステイツ(リベラル派が多く住む州)には、兵役に就くことで得られる奨学金を目当てに入隊するなど、個人のキャリアの踏み台として兵役を選ぶ人の割合が多いのに対し、テキサス出身の兵士のほとんどが純粋にアメリカへの愛国心ゆえに兵役に就くという。そのため、今回のウォーカーさんの葬儀に彼を知らない人たちがこれほど集まったのは、兵士の数が多く、州民の大半が愛国心に満ちているテキサス州ならではの美談だと言えるだろう。

 「テキサス人は人種差別者ではない」という事実を物語るような、こういった心温まる話題を米大手メディアが報道しないのは、残念としか言いようがない。 ニューヨークやロサンゼルスなど米沿岸部のリベラルなニュースばかりでなく、内陸部や南部の日常が切り取れるニュースも全米紙で取りあげることで、互いの違いを理解できるようになると思うのだが……。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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