アメリカ料理はハンバーガーだけじゃない! 食通も支持する米南部の食

アメリカ料理はハンバーガーだけじゃない! 食通も支持する米南部の食

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は、一般的にはあまり知られていない米南部ならではの美味しい地元料理の数々をご紹介。


いろんな文化背景が混ざって生まれた独特な料理

 旅に出る機会がある時、多くの人が関心ごとのひとつとして挙げるのは、その土地の「食文化」だろう。アメリカ料理と言えば、ハンバーガーやピザなどを思い浮かべるのが一般的かもしれないが、アメリカは国土が広いだけあり、地域による食文化が大きく異なることも特色のひとつだ。

 私が住む米南部には、日本ではあまり知られていない、美味しいアメリカ料理が沢山ある。黒人たちのソウルフードと言われるビーンズ&ライスをはじめ、南部料理という括りで挙げられる名物料理は沢山あるが、なかでも異彩を放つのがルイジアナ州ニューオーリンズの食文化だ。ブルースやジャズなど「音楽の街」として有名な観光地だが、食いしん坊の私も含め、米国内からも食を目当てに訪れる人が多い「食の街」でもある。

 開拓期に入植してきたフランス、スペインなどのヨーロッパ人が持つ食文化と、当時料理人として雇われていた西アフリカ人たちの料理法の融合により、この土地特有の食文化が生まれた。手の込んだフランス料理をベースに、入植者たちに仕えていた西アフリカ人たちが馴染みの食材や香辛料を加えて独自の工程で作った料理が生まれ、そこにさらにスペインからの入植者が持ち込んだトマトソースが混ざったりしながら、クレオール料理やケイジャン料理というジャンルが生まれた。

 今では、ニューオーリンズは美食の祭典地として知られ、ミシュランの星を獲得した高級フレンチやお洒落で斬新な料理を提供する有名店も並ぶ。そして同時に、リーズナブルに味わえるB級グルメの宝庫でもある。

 カジュアルな人気食の代表格といえば、カラッと揚げたエビや牡蠣をフランスパン(バゲット)に挟んで特性ドレッシングをかけた「ポーボーイ・サンドウィッチ」だろう。昔のレストラン経営者は、従業員を失礼にも「貧乏な子」(Poor boy)と呼んでいたことから、これが縮まってポーボーイと呼ばれるようになったらしいが、このサンドイッチは彼らの「まかない食」だったそうだ。ポーボーイの写真はこちら。

「オクラ」はアメリカ南部を代表する食材のひとつ

 ヨーロッパからの入植者に仕えた料理人は西アフリカ出身者が多く、当地でも入手できる、故郷で慣れ親しんでいた食材を使って料理をアレンジしたわけだが、そんな食材のひとつが「オクラ」だ。

 ニューオーリンズの代表料理であるガンボと呼ばれるスープもオクラが決めて。オクラでもったりとさせたスープの中には、海に近い湿地帯地域だけに地元で採れる牡蠣、エビ、はたまたワニの肉なんかも入っていたりする。また、米も栽培している地域なのでガンボも米入り。ジャンバラヤのような炊き込みご飯的な名物料理もある。

 また、南部人は揚げ物が大好きで、チキンやポテトや魚介類はもちろん、オクラも、酢漬けのピクルスさえもフライにしてしまう。そして、これがまたビールのつまみによく合うのだ。南部の揚げ物は揚げ油にピーナッツオイルを使用するので、カラッと仕上がり、食感がサクッとしていて油っこさをさほど感じない。南部特有のケイジャン・スパイスが効いたピリ辛なフライドチキンも、肉汁はジュワッと出るがカラッとしている。フライドオクラとフライドピクルスの写真はこちら。

 フランスからの入植者が多く住んだフレンチ・クォーターは、今でもヨーロッパの雰囲気が残る街並みで、ブルースやジャズの演奏音が心地よく響き渡る。その一角には日本にも進出したカフェ・ デュモンドの本店があり、有名なベニエ(粉砂糖をまぶした揚げドーナツ)とチコリ・コーヒーを楽しめる。ベニエの写真はこちら。

 このように「南部」と言っても、州や街によって異なる文化や歴史的背景がある。それを知れば知るほど南部の奥深い魅力に触れ、旅がさらに楽しくなるはずだ。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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