トランプを嫌い過ぎて、常軌を逸した米大手メディアたち

トランプを嫌い過ぎて、常軌を逸した米大手メディアたち

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、トランプ政権が嫌い過ぎた故に、「自作自演でヘイト・クライムの被害者を演じた、リベラル派の俳優」が起こした事件について。


そんな人、トランプ支持者は誰も知らない!

 1月29日、『エンパイア』というテレビ番組に出演している同性愛者の黒人俳優で、オバマ夫妻と親しいジャシ・スモレットが、「真夜中にシカゴの街を歩いていた時、覆面をかぶった二人組に襲われ、”『エンパイア』のニガー、ここはトランプ支持者の縄張りだ”と言われて、同性愛者差別用語を浴びせられ、顔に漂白液、首に縄をかけられた」と、警察に報告した。

 このニュースは一気にアメリカ全土を席巻し、約2週間に渡って大手メディア、ソーシャル・メディアが、「トランプ支持者が同性愛者の黒人を襲った! アメリカが差別的な恐ろしい国と化したのはトランプのせいだ」と大々的に報道し続けた。シカゴ警察が全力で捜査を続けている最中、スモレットはコンサートを行い、硬派の報道機関の人々からも「勇敢だ」と、絶賛された。

 そして、それから約2週間後に容疑者二名が逮捕されたが、この二人はスモレットと知り合いの黒人で、スモレットから3,500ドルが支払われていたことが発覚。二人の証言で、このヘイト・クライムはスモレットの自作自演だったことがほぼ確実となり、警察への虚偽通報など16件の容疑でスモレットは逮捕された。それでも米大手メディアは、トランプ大統領と彼の支持者に濡れ衣を着せて糾弾したという非を認めるどころか、「スモレットが悲惨な心理状況に追い込まれたのは、トランプが人種・同性愛者差別を奨励しているからだ」と言い続けている。

裏を取らずに報道してしまったリベラル派の大手メディア

 テキサス人は、大手メディアのこの一連の報道にひたすら唖然としているが、彼らが最も呆れかえっているのは報道陣の思考能力の欠如だ。1月の終わりにこの事件の第一報が流れた段階で、スモレットの言い分を信じた人は、私の周囲には一人もいなかった。なぜなら、常識的に考えて、スモレットの言い分は筋が通らないからだ。

 まず、トランプ支持者で『エンパイア』(NYのヒップホップのレコード会社の話。主な登場人物はみんな黒人)を見ている人は皆無と言っても過言ではないだろう。トランプ支持者はこの事件が起きるまで、「スモレットが誰か」を全然知らなかったはずだ。それ故に、「トランプ支持者が液体と縄を用意してスモレットを待ち伏せていた」とは考えにくい。

 さらに、シカゴは黒人、ヒスパニックがそれぞれ人口の約3割を占め、住民の8割が民主党派なので、仮にトランプ支持者がいたとしても「ここはトランプ支持者の縄張りだ!」などと言うことはあり得ないだろう。たとえば、大阪の人が「甲子園球場の近くで東京都民のジャイアンツ・ファンに襲われて、ここはジャイアンツの縄張りだ!と言われた」と訴えたとしよう。常識と良識を兼ね備えた人なら、「いや、そんなことは、まずないだろう」と思うはずだ。そして報道する前にその“裏を取る”(それが事実かどうかを調査する)であろう。

 しかし、米大手メディアは、最初からスモレットの発言を全面的に信じて、彼の言い分を「事実として報道」し続けた。そして、トランプ支持者によるヘイト・クライムではなかったことが明らかになった後は、ジャーナリストの多くが落胆した表情を見せていた。テキサス人はこうしたフェイク・ニュースを見て、「大手メディアはトランプを嫌うあまり常軌を逸して、報道の基本姿勢である裏を取る行為も捨て去ってしまった」と嘆いているのである。

後書き:
3月26日、シカゴの地方検事は「スモレットは社会に被害を及ぼす暴力的な人間ではない」などの理由で、スモレットに対する起訴を全て取り下げたため、シカゴ警察やシカゴ市長が激怒している。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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